長崎発!:長崎市役所移転のレール /長崎

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毎日新聞 2014年02月24日 地方版

 長崎市役所の移転建て替えに関係する議案が開会中の市議会2月定例会に上り、にわかに注目されそうだ。築後50年以上が経過し老朽化した現市庁舎(本館、別館、議会棟)を約200メートル離れた市公会堂と公会堂前公園敷地に移転させ、公会堂は解体するという話だ。

 市の説明によると、市は1991年度から市庁舎建設整備基金を設け準備を進めていたが、2009年度に実施した耐震診断で現市庁舎には大規模な地震に耐える十分な強度がないことが判明。11年2月、巨費を投じて耐震補強をしても現市庁舎には老朽化や手狭という課題が残るとして建て替えの大きな方向性を決めた。

 建て替えについての市民懇話会の議論などを踏まえ、昨年1月に事業費約200億円の想定で公会堂敷地への移転建て替え方針を決定。昨年5〜10月には市民会議で新庁舎に必要な機能などについて議論し、19年度中の新庁舎開庁を目指す基本計画を今年度中に策定するという。

 移転計画は着々と進められ、レールが敷設されたようだが、ここへきて異論が出ている。地元建築家らでつくる市民団体「長崎都市遺産研究会」は、公会堂は原爆からの復興を象徴する建築物なのに歴史的意義や建築的価値が考慮されていないとして、市民公開説明会・討論会の開催を市に求めた。

 1962年建築の公会堂は旧長崎水族館などを手がけた長崎市出身の建築家、武基雄氏の代表作で、国際学術組織DOCOMOMO日本支部が「日本の近代建築100選」に選定している。

 市民公募もしての懇話会や市民会議、市民アンケートなど、確かに市は手堅く手順を踏んでいるようだが、どこまで広く市民に浸透したかは疑問だ。将来に禍根を残さないためにもとことん議論する場はあっていい。もちろん、市議会の議論にも期待したい。<長崎支局長・下薗和仁>

〔長崎版〕

投稿者

長崎都市遺産研究会
長崎都市遺産研究会

長崎都市遺産研究会は、都市の中で埋もれていたり、解体されようとしている貴重な建築遺産を発掘、保全し、次世代に継承するための支援活動を行う市民団体です。

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