長崎市庁舎の建設地に関する住民投票条例について①:市議会臨時会本会議議事録2016.05.25

2016.05.25 : 長崎市:平成28年第2回臨時会(1日目) 本文


市長(田上富久君) 平成28年第2回市議会臨時会を招集いたしましたところ、議員の皆様には、ご出席を賜り、厚くお礼申し上げます。
 議案の概要の説明に入ります前に、私からも改めて、平成28年熊本地震によりお亡くなりになられた方々のご冥福をお祈り申し上げます。また、ご遺族の皆様、被災された皆様には、心からお悔やみ、お見舞いを申し上げます。一日も早い復旧を祈念するとともに、引き続きさまざまな支援をしていきたいと考えております。
 それでは、ただいま上程されました議案の提案理由をご説明いたします。
 第76号議案「長崎市庁舎の建設地に関する住民投票条例について」は、地方自治法第74条第1項の規定に基づき条例制定請求が行われましたので、本条例を付議するものでございます。
 また、この議案には、地方自治法第74条第3項の規定により条例制定請求に対する市長の意見を附することとなっておりますので、その内容をこれより述べさせていただきます。


 意 見 書

1.請求に対する考え
 長崎市庁舎の建設地に関する住民投票条例は、新市庁舎を含む複合型施設を県庁跡地に建設することについて、住民投票により賛否を問うものであります。これに対し、住民投票を実施するための本条例の制定に反対する立場から、以下意見を述べさせていただきます。
 長崎市においては、将来の市庁舎の整備に備え、平成4年に市庁舎建設整備基金を設置し準備を進めるとともに、平成7年度には市議会に市庁舎建設に関する特別委員会が設置されるなど、20年余りの歳月をかけて検討を行ってまいりました。
 そのような中、平成21年度に実施した市庁舎の耐震診断の結果、大規模な地震に耐える充分な強度がないことが判明したことに加え、建物の老朽化が進んでいること、窓口や執務室が分散しており、市民の利便性及び業務の効率性の面で課題があること、より一層の業務のIT化及びバリアフリーへの対応を行う必要があることなど、早急に解決すべき課題を大変多く抱えている現状にあります。
 このような現状と、耐震補強を行った際の費用対効果及び機能確保の困難性を踏まえ、平成23年2月に、市庁舎を建て替えることを耐震化の方針とすること、建て替えを検討するエリアとして現在の市庁舎がある場所から公会堂を含む一帯とすることを方針決定いたしました。
 建て替えを検討するエリアを現在の市庁舎がある場所から公会堂を含む一帯とするとした理由は、市庁舎を現在地付近に置くことで、長崎駅周辺とまちなか地区、水辺の地区といった都市の拠点のつながりが、線から面に広がり、都心部全体への人の回遊性の維持や中心市街地の活力の向上につながること、まとまった規模の市有地が集積していること、加えて、交通の利便性が高いことなど、さまざまな点を総合的に勘案したことによるものです。
 その後、長崎市庁舎建て替えに関する市民懇話会を設置し、市民の皆さんからご意見をいただくとともに、平成23年度から平成25年度にかけては、市議会において特別委員会が設置され、議論を積み重ねてまいりました。
 その結果、(1)現地建て替えに比べて施設計画に制約条件が少なく、1棟にまとまり、よりよいサービスを提供できること、(2)防災拠点としての安全性も確保した庁舎が早期に実現できること、(3)工事期間が短いためコスト的に有利なこと、(4)まちなか軸に一歩近づくことで、まちなか・市庁舎双方の交流とにぎわいが期待できることなどの理由から、平成25年1月に建て替え場所を公会堂及び公会堂前公園敷地とすることを決定いたしました。さらに、平成25年度には、長崎市新庁舎建設基本計画検討市民会議を設置し、市民や有識者の皆さんに参画いただくとともに、パブリックコメントの実施を通じて、多くの市民の皆さんからご意見をいただき、またあわせて、市議会のご意見も踏まえながら、平成26年2月に長崎市新庁舎建設基本計画を策定し、現在に至っております。
 一方、県庁舎跡地は、長崎市にとっても重要な場所であることから、県民、市民にとってよりよい活用となるよう、副知事・副市長をメンバーとする県庁舎跡地活用プロジェクト会議を設置するなど、県市で協議を重ねております。この検討に当たっては、まず、広く県民及び専門家などの意見を求めるため、平成21年8月に長崎県県庁舎跡地活用懇話会が設置され、基本理念、基本的な方向、期待される活用方法などについて、平成22年1月に知事に対して提言がなされました。この提言の基本理念の中では、「長崎発祥の礎でありかつ中心市街地の核ともいうべき唯一無二のこの場所を、県庁舎という事務所機能を中心とした行政機関が占有し続けることは、この場所が本来持つ価値や大いなる可能性を将来にわたり閉ざしてしまう」と述べられています。
 その後、この提言における基本理念などを踏まえ、県庁舎跡地の具体的な活用案について検討するため、平成24年7月に長崎県県庁舎跡地活用検討懇話会が設置され、10回にわたる協議を経て、平成26年4月に県庁舎跡地活用に係る提言が知事に対して提出をされています。
 この県庁舎跡地活用に係る提言では、主要機能候補として、多目的広場機能、歴史・情報発信機能とあわせてホール機能が掲げられ、附帯機能候補としては、展望機能やバスベイ・駐車場機能などが掲げられています。また、長崎市において、公会堂廃止後の新たな文化施設を、現市庁舎跡地での整備を念頭に考えるとの方針にしておりましたが、先ほど述べました県庁舎跡地活用検討懇話会の提言の中で、主要機能候補の1つとしてホール機能が掲げられたことから、市が設置する新たな文化施設との機能の重複を避けること、現市庁舎跡地への建設と比較して早期の完成が見込めること、県庁舎跡地に一層のにぎわいを生み出すことができることなどを理由として、県に対して県庁舎跡地に新たな文化施設の整備を提案し、あわせて広場機能及び歴史・情報発信機能などについても、県との協議を進めてまいりました。
 このような中、平成28年2月県議会において、県から県庁舎跡地活用に当たっての基本的な考え方として(1)多様なイベント等により賑わいを創出する広場、(2)歴史・観光情報の発信も行う交流の場や県都長崎に相応しい迎賓機能を備えた交流・おもてなしの空間、(3)歴史あるこの地に相応しい文化の中心となる質の高い文化芸術ホール、といった方向性を中心に検討したい旨の方針が示され、さらにホール機能については、興行採算性の観点からは、1,000席程度のホールに優位性があり、今後質の高さとホールとしての採算性の両立等をさらに検討するという考え方が明らかにされたところです。
 このように、市庁舎の建て替えの方針決定及び県庁舎跡地活用の基本的な考え方が示されるまでに、県民、市民さらに県議会、市議会のご意見をお聞きし、慎重に検討を重ねてきた経過があること、また、市庁舎の建て替えは、市民の安全安心や市民サービスの向上などの観点から早期に実現する必要があることを踏まえますと、現在の方針は、それらを解決する最良の方法であると考えております。このことから、住民投票を実施するための本条例の制定について、反対するものでございます。


2.請求の要旨に対する考え
 請求の要旨について、意見を申し上げます。
(1)請求本文(前段)について
 請求の要旨の前段にある「県庁移転後の跡地は決定打と言える利用方法は打ち出されておらず、このままでは歴史ある長崎の原点の地が利用度の低いものになりかねません」との記載部分につきましては、県庁舎跡地活用については、県が設置した2度の懇話会で基本理念や行政機能を含まないホール機能等の3つの主要機能候補などが提言されています。これらの提言に沿い、平成28年2月の県議会で、基本的な考え方が公表されており、一定の活用方法が示されている状況にあります。
 また、この基本的な考え方は、県庁舎跡地が中心市街地の核となる重要な場所であり、歴史あるこの地に新たな交流とにぎわいを創出するすることを念頭に、県民・市民から意見を聞き、県議会での議論を経て検討されてきたものであることから、請求にあるような利用度の低いものにはならないと考えています。
 このことから、請求は現状と合致していないものと考えます。
(2)「(1)安全・安心について」
 請求の要旨の「(1)市民の安全・安心」のうち、「災害時に情報拠点となる市庁舎が高台にあることは、市民の安全・安心に大きく役立ちます」との記載部分につきましては、長崎市が新市庁舎の建設場所としている公会堂及び公会堂前公園敷地は、昭和57年の長崎大水害においても浸水しておりません。さらに水害後は、中島川水系において長崎水害緊急ダム事業によりダムの改修がなされるとともに、河川激甚災害特別緊急事業として中島川の拡幅やバイパス工事が行われており、公会堂及び公会堂前公園敷地の安全性はさらに高められています。また、東日本大震災後に県が作成した津波浸水想定においても、長崎市の沿岸部の最高津波水位は約4メートルであり、標高約7メートルの公会堂敷地については、浸水の恐れがないものとされています。
 このようなことから、公会堂及び公会堂前公園敷地においても防災上の安全性は十分に確保されていると考えております。
(3)「(2)県・市の二重投資の防止について」
 「(2)県・市の二重投資の防止」のうち、「県は県庁跡地に、歴史・情報発信、ホール、多目的広場の機能を持つ施設の建設を検討しています。新市庁舎にも、市民が利用できる会議室や多目的スペース、情報発信機能が予定されており、県庁跡地の施設と機能が重なっています」、「効果的に投資するには、両方を統合すべきです」との記載部分につきましては、県庁舎跡地や新市庁舎の整備内容は、今後、それぞれの施設の建設場所やコンセプトなどを考慮しながら具体的な機能及び用途を確定していくものですが、基本的にその役割は異なるものであることから、多目的スペースや情報発信機能など、名称が同じであっても、機能や用途が重複することはありません。
 このことから、請求にある二重投資となるような状況にはなり得ないものと考えております。
(4)「(3)市内各地からの行きやすさ」について
 「(3)市内各地からの行きやすさ」のうち、「公会堂の場所に市庁舎を建てると、バスで市内北部・西部・南部から向かう場合、現在の路線を大きく変えなければならず、十分な本数が確保できない可能性があります。桜町トンネルの拡幅は難しい上、交差点に電車軌道があり信号待ちで大渋滞のおそれもあります」との記載部分に関し、バスについては、利用者の需要やバリアフリーの観点などから、路線の一部変更は想定されますが、基本的には現在のバス停からも徒歩圏内であることから、大幅な変更は生じないものと考えています。
 一方、路面電車については、電停からの動線が平坦となり、さらに利用度の高まる路線もふえることから利便性は向上いたします。
 これらのことから、公会堂敷地においても公共機関によるアクセスは十分に確保されていると考えます。なお、周辺道路への影響につきましては、今後、交通解析などを行い、交通事業者や警察などの関係機関と十分に協議しながら、円滑な交通の確保に努めていきたいと考えています。
(5)請求本文(後段)について
 請求の要旨の後段にある「県庁舎跡地の利用計画が確定していない今こそ、長崎市が方針を転換するまたとない機会です」との記載部分につきましては、先ほど述べましたように、県庁舎跡地活用については、県が設置した2度の懇話会において、跡地活用に関する基本理念や行政機能を含まない具体的な主要機能及び附帯機能が提言され、これを受けて3つの基本的考え方が示されております。
 一方、市庁舎の建て替え及び建て替え場所の検討に当たっても、同様に長い時間をかけて、市民の利便性の向上、事業期間、コスト、まちのにぎわいなどの観点から多面的に評価・検討を行い、あわせて市議会や市民の皆さんからいただいた意見を十分に反映し方針を決定しております。
 このことから、今後とも長崎市の方針と県の基本的な考え方に沿い、具体的な検討及び手続を着実に進めていきたいと考えています。


3.本条例に対する考え
 本条例について、意見を申し上げます。
 第1条(目的)は、「本市の庁舎建設について、住民の意思を確認することを目的とする」とされていますが、現在の長崎市の方針を決定する過程の中で、市が設置した懇話会に市民も参画いただくとともに、市民アンケートやパブリックコメントなどを通じてご意見をお聞きする機会を設けてきました。また、市民の代表である市議会のご意見も踏まえた中で決定してきていることから、市民のご意見は、既に長崎市の方針に十分に反映できているものと考えています。
 第2条(住民投票)では、選択肢を用いた投票についての規定が設けられています。
 第2条に規定されている複合型施設が具体的にどのような施設を指すものなのか、明確な説明がありませんが、請求の要旨によれば、複合型施設には、市役所機能に加え、県民・市民が活用できるホールや会議室、バス発着機能などとされています。しかしながら、例えば、ホールがどの程度の規模でどのような用途のものなのか、バス発着機能がどういう内容のものなのかなど、明確にされていないため、複合型施設の定義を行う必要があるものと考えます。また、この選択肢では、県庁跡地に市庁舎を含めた複合型施設の建設への賛否を問うこととされていますが、仮に、市庁舎を県庁舎跡地に建設することには賛成でも、複合型施設とすることには反対の場合などは、その意思を反映させることができません。これでは、住民の正確な意思が反映されず、第1条及び第2条第2項の趣旨に合わないものと考えます。
 第5条(投票者資格者)では、投票資格者を「投票日において年齢満20歳以上の日本国籍を有する者」としていますが、仮に住民投票が実施されることになった場合は、本年6月19日に施行される公職選挙法に準じて、満18歳以上の市民にも投票資格を与えるべきであると考えます。
 第15条(投票結果の取扱い)では、「市長及び市議会は、住民投票の結果を尊重する」と規定されています。この住民投票が、市庁舎建設について住民の意思を確認することを目的として行う以上、一定の投票率と得票率を満たされなければ、正確な住民の意思が反映されたということはできません。単に投票の状況によって、市長及び市議会が結果を尊重することは不適当であることから、住民の意思を適切に評価するための投票率と得票率の規定を設けることは、必須の要件であると考えます。


4.総括
 最後に、本条例の制定について、総括的な意見を申し上げます。
 本条例について、2万9,959人という多くの市民の皆さんが条例制定請求の署名をされた事実は、真撃に受け止める必要があると考えています。
 しかしながら、市庁舎の建て替えについては、市民の利便性と職務効率の向上、事業期間、コストなど多面的な評価、検討を行うとともに、市議会からのご意見、市民懇話会や市民アンケートなどを通じた市民の皆さんのご意見を十分に踏まえ、長年議論を重ねながら方針を決定してまいりました。また、この方針は、現在から将来にわたる長崎市のまちづくりを考えたものであり、陸の玄関口である長崎駅周辺、歴史的な文化や伝統に培われた長崎の中心部である、新大工町から中通りを経て南山手に至るまちなか地区、海の玄関口である水辺の地区といった3つの拠点をうまく連携させ、都心部全体の人の回遊性の維持や中心市街地の活力の向上を図っていくという考え方に基づいています。
 今後とも、それぞれの地区の特長を生かした有機的な連携を考慮し、まち全体を俯瞰しながら、まちづくりを進めていきたいと考えています。
 また、請求の要旨にある新市庁舎のあり方及び建設場所については、これまでと同様、市民の代表である議会にお諮りし、しっかりと議論を重ね、決定していただいた上で推進していくべきものであると考えております。
 さらに、今回の住民投票は、市庁舎の建設を県庁跡地にというものですが、県庁舎跡地は県有地であり、県が主体的に取り組むべき事項であることから、長崎市の判断だけで決定できる内容ではないため、住民投票の結果が及ぶものではないと考えます。
 このような経過及び状況を踏まえ総合的に判断しますと、多額の費用を必要とする住民投票について、今回その実施をすることは適当ではなく、長崎市庁舎の建設地に関する住民投票条例は制定すべきものではないと考えております。
 議員の皆様におかれましては、慎重なご審議を賜りますようお願い申し上げます。=(降壇)=

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26番(浅田五郎君) 明後二日もすると27日には、待ちに待ったオバマ大統領が最初の被爆地広島市の平和公園に立ちます。
 プラハでの強烈な演説、あの演説も今ではかすみと消えた感がいたしますが、広島から最後の被爆地と願う長崎市民に対して、何か言葉があるのでしょうか。どんなメッセージで世界に向けて発信するのか期待したいものです。
 さて、今、市役所の建設のために犠牲になろうとする公会堂。これは、壊滅的な被害を受けた長崎が原爆からの復興を願い、日本の政府が1949年、昭和24年長崎国際文化都市建設法を制定したのであります。この法律をもとにして、長崎国際文化センター建設委員会が水族館、図書館、プール、体育館、美術博物館そして公会堂が完成し、今あるのは公会堂だけなんです。
 ここに、長崎国際文化センター建設の資料があります。これは皆さん方あまり見てないと思いますけれども、これまでの議会で審議した過程、審議会での審議、あるいはパブリックコメント、そうした問題の中では、これは出てこなかったんです。その後に、見つかった大切な資料であります。この中には、外国からのいわゆる募金等などいただいた方々のお名前等などが記している資料もあります。この資料の第1ページにですね、皆さん方もご承知のように、世界的な歴史学者であるトインビー博士が昭和31年に長崎に参りまして、長崎国際文化センター建設運動が展開されつつある、数万の貧しい人々の毎月の献金によって、私はまさしく再起というものを長崎で発見したのだ。長崎の人々のみずから新しい姿を生みつつある陣痛に、私は最大の尊敬を表すとともに、私は私の友達に呼びかけて、力の及ぶ限りその募金に協力したいと述べているんであります。
 これが世界各国からの募金につながったのであります。このトインビーの言葉が碑文として公会堂の前にでもあればいいんですが、全くありません。きわめて残念です。しかし、数ある建設された中で、公会堂が壊されずに今あるということは、市民の願いがそこにあったからだと私は信じたいのであります。
      〔発言するものあり〕
 公会堂を壊して市役所を建てると言うから1番関係があるんです。もうしばらく聞いてください。
 第76号議案「長崎市庁舎の建設地に関する住民投票条例について」、市長のご意見に対してお尋ねいたします。
 まさしく、一つ一つ丁寧に反論を主張いたしましたが、これが市民力に対する言葉なのかと愕然として聞いておりました。
 長崎市長は、平成26年2月21日に建物の老朽化、耐震性の不足等により、市役所を建て替えたいが、市民の利便性などを勘案して、その位置を変更したいので、この条例を提出するとして、桜町2番22号、この場所ですね、そして魚の町4番の公会堂の場所に改める議案を改正として提案したのであります。それが、4カ月後の6月議会では、桜町から魚の町の公会堂の土地の改正は撤回されて今日に至っているのであります。
 市長は、昨年の4月の市長選挙で無投票で当選いたしましたが、相手がいない中での当選でありますから、政策に対する民意は得てないものだと私は思っております。それだけに、今回の住民投票は民意を得るのにいい機会であり、住民投票を求めた市民の会の皆様方に感謝してのもいいのではないかとすら私は思っております。
 しかも、大事なことは、この市長選挙は、市庁舎を公会堂のところに建設する議案は撤回したままなんです。長崎市民は公会堂を壊して市役所を建てるということは、白紙に戻ったと皆さん方は思っているものと私は思っております。
 田上市長の住民投票の条例に対する反対は、住民投票は必要ないという強い意志での市長の意思決定でしたが、市議会に市長の意思を強烈に伝え、議会制民主主義を破壊するようなこの住民投票の否定は、市議会がすると住民投票の反対の責任を市議会の皆さん方が受け持たされるのであります。田上市長の行動に同調することは、あなた方議員の皆さん方が議会制民主主義を否定したという責任を負わされることを決して私ども議員は忘れてはなりません。こうした問題が、決して我々は、許すことはできません。
 田上市長は、本条例に対する考えでは、住民の意思の確認は、市が設置した懇話会、市民アンケートあるいはパブリックコメントなどを通じて、市民の代表である市議会の意見も踏まえた中で、決定していると申しております。しかし、懇話会の大多数の方は、住民投票はその結果のいかんにかかわらず、実行すべきであるとしており、パブリックコメントにしても、これは多数決でなく意見を聞くだけなどと多数の市民の声に耳を市長はかしておりません。都合のいい解釈をしているようでありますが、堂々と市民の求めている住民投票を受けて立ち、市役所の建設場所は公会堂跡地がいいのか、県庁跡地がいいのかを住民投票で決めてみてはいかがでしょうか。
 最終的には、投票をやるか、やらないかは付託された委員会で決めることになりますが、議案撤回のまま市民は市役所建設は場所も含めて白紙になっているのではないか、田上市長は公会堂跡地になぜこだわっているのかと思いますが、その1点についてお尋ねいたします。本壇からお尋ねはこの1点でありますが、自席から今反論されておりました市長の投票率・得票率について、あるいは県庁跡地は県有地であり、住民投票の結果に及ぶものではない。住民投票の多額の費用についてなど、改めて市長の答弁の後に質問させていただきます。ご清聴ありがとうございました。=(降壇)=

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市長(田上富久君) 浅田議員のご質問にお答えいたします。
 まず、ご質問の前に、公会堂のお話がありました。国際文化センター建設構想についてですけれども、ここで平和を求める都市、そして、世界と交流する平和文化都市であろうとする意思を当時の長崎市民の皆さんが提唱されて、そして、そこに多くの世界の皆さんも参画をして、その実現が昭和30年代にさまざまな取り組みがなされました。その思いというのは、私はこれは未来にもつながるものであると思っておりますし、今もその方向に向かって一歩一歩、建物の形が変わったとしても、進み続けていると思っておりますし、これからも、進み続けなければならないと思っております。そのことをまず最初に申し上げたいと思います。
 なお、ご質問の件ですけれども、平成26年に白紙になったのではないかというご質問ありました。平成26年6月議会において、長崎市役所の位置を定める条例の一部を改正する条例については、一旦撤回をいたしました。その理由は、当時、公会堂廃止条例が継続審査となっていたことや、当時の経済状況から見て、技能労働者の確保や円滑な施工が見込めるのかといったご指摘をいただいたことから、新市庁舎の整備に関する予算を提案する時期ではないという判断に至り、そういう予算の計上時期を明確にしていない中で、条例の審査を継続していただくことは困難と考えたことによるものです。
 しかし、公会堂を解体し、その敷地に市庁舎を建設するその方針に何ら変わりがないことは、議案を一旦撤回する際にも申し上げております。その後の議会においても、答弁しておりますので、浅田議員もご存じのとおりであると思います。市民の皆さんには、広報誌やホームページなどにより、その旨の周知を行ってきております。
 それと、なぜ反対なのかというご質問ですけれども、全体としては、先ほど意見書で述べさせていただいたとおりです。繰り返しになる部分もありますが、若干補足をさせていただきますと、1点目には、将来にわたるまちづくりの観点から、市長として明確な方向性を示させていただいたということです。いただいた条例制定請求書に示されております、市民の安全安心、県市の二重投資の防止、市内各地からの行きやすさといった観点も含めて、長崎駅周辺地区、まちなか地区、水辺の地区を結ぶ市内中心部の面的なにぎわいと活力をつくっていくという視点、また、市民の利便性、職務効率の向上、事業期間、コストなどを多面的に評価検討した結果、市庁舎建設場所は公会堂跡地という方針と出させていただいています。
 一方、県庁舎跡地の活用方法については、県が設置した懇話会の提言でも、事務所機能を置くことは明確に否定されており、その後の検討で既に活用についての一定の方針が示されています。
 こういう状況の中で、住民投票で判断を仰ぐという方法ではなく、将来にわたり、まちづくりに資するという方向で方針を出し、事業を押し進めることが、私の責務であると考えております。耐震度の低い市庁舎の建て替えは、熊本地震の状況を踏まえましても、喫緊の課題であり、現在の方針に従ってできるだけ早く取り組むべきという観点からも現在の方針で進めるべきと考えております。
 2点目には、これまでのさまざまな議論、議案、検討の積み重ねを尊重すべきであるという観点です。もともと、市庁舎の議論は先ほどお話申し上げましたように、20年以上の経過があるわけですけれども、特に現在のエリアへの市庁舎建設をお示しした5年前からは、先ほど申し上げたような、さまざまな論点について、市議会特別委員会であったり、市民懇話会などで説明させていただき、ご議論いただいてきました。その中で、エリア、建設場所、機能などについて方向性を見出してきており、これについては重いものであると考えています。
 もちろん、今回の約3万人の皆さんの署名についても、市長として真摯に受けとめさせていただいております。特に市民の安全安心、県市の二重投資の防止、市内各地からの行きやすさという条例制定請求書の中でお示しいただいた点については、ご意見を踏まえ、今後とも事業を進める中で、さらに工夫を重ねていきたいと考えております。
 3点目には、今回の案件については、住民投票の有効性に限界があるという点があります。県庁舎跡地の活用については、一義的には県議会での議論なども踏まえ、県が主体的に検討するものです。その意味では、住民投票の結果が直接、結果として繁栄されるものではありません。一般的に住民投票の意義を否定するものではもちろんありませんが、今回の住民投票にはその意味で大きな限界があると考えています。
 こういった内容を総合的に判断する中で、住民投票は実施すべきではないと考えていることを示させていただいたものです。
 以上です。

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26番(浅田五郎君) 市長。いろいろ詭弁を弄して答弁いただきましたがね、少なくとも、あなたが議案を撤回したということは、やはり白紙なんです、一般市民の方から見ると。我々議場であなたの意見を聞く、いろいろ気持ちを聞く、話をする。だけど、一般市民から見ると、市役所を建てますと言って、議案を出して、それを引いてしまったら、どうですか、しかもこの場所から魚の町に移転をすると議案を撤回したんですから、誰が見たって公会堂そのままで、市役所もあそこに建てないんだなというのは当たり前じゃないですか。しかもそれをそのままにして、実は、あなた市長選挙に勝ったわけですね。ですから私、あなたが対抗馬がおって、市長選挙をやったならばね、大型プロジェクトについて、MICEにしても、公会堂にしても、市役所建設にでも、いろいろな問題についての議論があり、民意を得たことは、はっきりするわけですけれども、全くないわけなんですよ。悲しいかな残念ながら、あなたは政策に対する民意は得てない。だから、市民の会の住民投票いかがですかと私は言っているわけですよ。
 しかし、あなたはがんとしていろんな理由をつけておりますけれども、公会堂よりね、実はこの市役所が古いんですよ。古いのを使いながら、公会堂は老朽化しているから、危ないんだと。考えてみてください。50年間全く何もしていない公会堂なんですよ。例えば、少子高齢化と言われて30年たちます。その30年の間に、あの公会堂にエレベーターの1つでもつけようかということすら実はなかったんですよ。そうしたことを考えてみると、今になって公会堂は部品がありませんなんて言うけれども、皆さん方が改修していったならそんな問題なかった。私はこの公会堂は、先ほど私が文化センターの資料を見せたように、まさに原爆を落としたアメリカの方々からの大変な募金が入っているわけなんです。今度広島ではアメリカの捕虜の方も来、被爆者も来て両方相まっての話をやりたいような話が、けさの新聞に出ておりましたけどね。私は少なくともこの公会堂だけは、戦後10年経ってからこれが動き出し、しかも、日本で残さなきゃならない建物の100選の中の1つになってる。これを建てた長崎出身の武先生であるし、同時にこの方は公会堂と同じ平和の泉の設計もなさっている方。こうした方々が長崎の平和を原爆の後、復興させようじゃないかという思いで、実は運動をし、あの公会堂ができたわけ。それが、老朽化したからと言って、ほっとって老朽化させて、そして、後は壊すんだと言って、そしてあなた外国に行って、いろんなことやって、平和運動やってる。そういうことを考えてみると、やっぱり公会堂を残すという立場に立っての問題だけになる。
 幸いに、あなたは文化ホールを県庁の文化ホールになぞえて、そこに行きたいということでお願いをしている。今後、どういうふうに展開するかわかりませんけれどね。ただあなたの意見の中に、県庁跡地は県有地だから、住民投票でやってもそれは発言の効力はないんだと、申しておりました。

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26番(浅田五郎君) 県有地である県庁舎跡地について発言ができないということだったので私が言いたいのは、県に対してビッグNの土地は無償で提供した。あの総合体育館は長崎商業の跡地は、30年間有償じゃないんですよ、無償で今貸しているんですよ。そういうことを考えてみると、長崎市の住民投票で、長崎市民の思いが県庁跡地を市役所に使いたいと言うんであれば、市長はそれを代弁し、あるいは議長も一緒になってお願いに行くことはできるわけですよ。全く県に対して発言ができないんじゃないんですよ。あの長崎商業の跡地は、30年間無償で貸しているんですよ。野球場のビッグN、あれは無償で提供したんですよ。ただで県にやったんですよ。ならばね、市民の総意としてあなたが代表としてせっかく県庁がもう起工式して建設始まったわけですから、魚市跡地に。だったら、その跡地に、是非、市役所をという住民の声がありますから、貸してくださいと言っても、決して私は言えないことはないと思うんです。
 それから、住民の投票率とか、得票率の話をしておりますけれども、ついこの前ありました壱岐市の市庁舎建設に対する住民投票。これは、そんなこと問題になかったですよ。住民の声を尊重して建てないということがあったから、壱岐の市長は断念した。そういう問題であると。もう1つは大事なことは、多額の費用を使うということですけど、あなたに言われたくないですよ。市長、多額の金を無駄遣いすると言われたくない。決算委員会の不認定は、この戦後70年の中の議会で5回しかないんですよ。そのうちの4回は、あなたの時代に不認定で無駄遣いしたことが明らかになったわけですよ。しかも、その前の市民病院、4億3,000万円。市の処理がきっちっとしてあれば、問題なかったことに対して、病院も市もあるいは業者もみんなそろって4億3,000万円の金を払わなきゃならない。こうした状況の中で、あなたから無駄遣いの話は聞きたくないです。少なくとも、住民があなたの言う市民力のあるこの住民が、法定の署名数の5倍の数を集めて、住民投票を求めてる。ならば、やっていいじゃないですか。あなたが公会堂に自信があるということを一つ一つ反論した。その反論に対して自信があるならば、長崎の有権者に聞いていいじゃないですか。しかもお金が高いと言うならば、参議院選挙が7月10日にあります。それに間に合うようにやれば、できないことないんですよ。問題はそういったことを考えて、いかにして住民の声を聞くと。市長が市民力で当選したあの時を思い出してほしい。随分変わったんですよ。
 だからそういう問題で、市長に対して物申したいのは、少なくとも私が言いたいのは、住民投票の投票率にしても壱岐の市庁舎の問題については、これは問題なかった。あなたは県立図書館の際にも、県庁に建て替えてくれということを言ってるんじゃないですか。どうぞそういった問題についても、私はこれでおさめますけれどもね、どうぞあなたももう一度、あなたの気持ち、私の言ったことに対してご意見があれば、答えていただきたい。
 以上で終わります。ありがとうございました。

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31番(総務委員長 梅原和喜君) ただいま議題となりました第76号議案「長崎市庁舎の建設地に関する住民投票条例について」総務委員会における審査の経過について、中間報告を申し上げます。
 本条例は、地方自治法第74条第1項の規定に基づき条例制定請求が行われたため、同条第3項の規定により、市長の意見を附して提案されたものであります。
 委員会におきましては、まず、条例制定請求代表者による意見陳述が行われ、陳述人より、本市は公会堂を解体し跡地に新庁舎を建設する方針であるが、歴史的にかなめの場所である県庁跡地での検討をお願いしたい。市民の安全安心の面では、最近の自然災害は想定外のものが多数あり、情報拠点となる市役所は高台にあることが必要である。県市の二重投資の防止の面では、県は、県庁跡地に歴史・情報発信、ホール機能、多目的広場の機能を持つ施設の建設が、新市庁舎にも市民が利用できる会議室や多目的スペース、情報発信機能の設備が予定されており、県庁跡地に検討されている機能が重なっていることから、県市でよく税金の使い道を協議してほしい。市内各地からの行きやすさの面では、市庁舎が公会堂敷地に建設された場合、バス路線の大きな変更が必要で、桜町トンネルの拡幅も難しく、そのようなことから市庁舎の建設については、県庁跡地がより適当である。また、公会堂前広場は、市民や観光客が長年くんちで慣れ親しんできた場所であり、公会堂存置の7万を超える数の署名も提出されている。住民投票条例を制定することが、より市民の理解が得られるとともに、拾いきれないままになっている民意を確かめる意義もある。市民の声を明らかにするため、市民の代表が集まる議会の場で、条例制定をお願いしたいとの陳述があっております。
 また、条例制定請求代表者ほか2名を参考人として出席要請し、県庁舎の移転が決定した時期に、活動を開始しなかった理由、住民投票を実施するに当たり、重要な判断基準となるコスト面の考え方、市議会として県の意向を確認しに行くとした場合の見解について質疑を行うなど、種々論議を行った次第であります。
 その後の審査におきましては、公会堂の廃止が決定しているにもかかわらず、市庁舎建設の進捗を図らない理由について質したのであります。この点理事者から、公会堂の廃止条例が継続審査となり、市庁舎建設ではなく、MICE施設を優先するという議論があった。その時点では土地の取得を急ぐ必要があったためであるが、今は前進している。公会堂は廃止条例が可決され、公の施設ではなくなっており、これまで議論を重ねてきた市庁舎建設についての市の方針があるとの答弁があっております。
 そのほか、県への意向確認を議会が行う際に、市が同行する考え、住民投票を実施するとした場合に必要となる費用や夏の参議院議員選挙との同日実施の可否について質すなど、慎重に審査を行った次第であります。
 その結果、解決すべき課題や、整理すべき事項が残っており、まずは、県の意向確認を行うなど、課題の整理を行うことが必要であると考えられることから、さらに慎重に審査を行うために、本議案を継続審査とすべきであるとの意見が出され、全会一致で本議案を閉会中もなお継続審査を要するものと決定し、議長に対しその申し出をした次第であります。
 なお、委員会においては、議会として県への意向確認を行う必要があることを確認いたしました。
 その後、議長との協議の結果、正副議長、正副委員長及び関係理事者において日程調整の上、県へ意向確認を行うこととなったことをご報告いたします。
 以上で総務委員会における中間報告を終わります。=(降壇)=

 

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長崎都市遺産研究会
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