長崎市公会堂の解体中止と再使用に関する住民投票条例について1回目:市議会本会議議事録2016.09.09

◯議長(毎熊政直君) これをもって、市政一般質問を終了いたします。
  次に
日程2
 第123号議案 長崎市公会堂の解体中止と再使用に関する住民投票条例について
を議題といたします。
 環境経済委員長の審査報告を求めます。24番堤 勝彦議員。
     〔堤環境経済委員長登壇〕

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◯24番(環境経済委員長 堤 勝彦君) ただいま議題となりました第123号議案「長崎市公会堂の解体中止と再使用に関する住民投票条例について」、環境経済委員会における審査の経過並びに結果についてご報告申し上げます。
 委員会におきましては、条例制定請求代表者による意見陳述を行った後、同請求代表者ほか2名を参考人として出席要請したところであります。
 まず、参考人に対しましては、今回の署名収集の際に使用した条例制定請求書の請求の要旨に、「新しい代替施設が実現するまで公会堂の解体を中止し再使用」、「解体せずに永続的に使用」、「市庁舎の建設場所は現在地か県庁舎跡地」の3つの内容が含まれており、1つのテーマについて賛否を問うべき住民投票にはなじまないことから、今回署名収集を行うに当たっての考え方について質したのであります。
 この点、参考人から、公会堂の代替施設を市が検討しているため、せめて代替施設ができるまでとしたものである。しかしながら、公会堂を解体しようとしている事態に対し、解体を中止し、再使用を求めている住民投票であり、真意としては公会堂存続を目指していることには変わりはない。未来永劫使用することを我々が言えるかということには疑問があり、30年後の人が決めることを我々が決めることはできない。また、市庁舎の建設は考え方を付記しただけであり、建設場所を問うているわけではないとの答弁があっております。
 さらに、参考人に対し、参考人が提示している公会堂を再使用するために必要な費用の根拠について質したのであります。
 この点、参考人から、公会堂の未来活用を問う会が作成した工事費の内訳を示す参考資料が提出され、耐震補強に関しては、柱を入れるだけではなく、柱とともにエレベーター等を入れて内部を固める作業をしながら1,800席ある客席数を1,300席に縮小する案を考えているなどの答弁があっております。
 そのほか、参考人に対し、長崎国際文化センター構想により建設された施設としては、移転・解体が決定している県立図書館も同様であるにもかかわらず、公会堂のみを残そうとする理由、請求代表者は、県庁舎跡地活用検討懇話会の会長でもあり、同懇話会からの提言では3つの機能のうちの1つとしてホール機能を求めていたことと、県庁舎跡地に市庁舎を再考するという考えとの整合性、廃止条例の審査の時期に、登録有形文化財へ登録の運動を行わなかった理由、参考人と市が想定する費用の差に生じる工事内容の違い、参考人が現在の公会堂と同程度のホールを建設するには約50億円かかるとする根拠、市長の意見書で示された投票率及び得票率に対する指摘事項について、議会が修正を行った場合に受け入れる考えの有無、公会堂廃止後の文化団体の活動の現状、公会堂は建物を見るためのものではなく建物を使用することが求められるものであるため、後世に問題を引き継がず、よりよいものを残すことへの見解、公会堂を全面改修した場合に県庁舎跡地にホール建設を行う必要性について質したのであります。
 その後の審査におきましては、理事者に対し、県庁舎跡地へのホール整備について、当初は平成27年3月までに結論を出すこととしていた県との交渉のあり方について質したのであります。
 この点、理事者から、平成26年6月に廃止条例が可決されて約2年が経過しており、この貴重な時間を費やしながら市として新たな文化施設の整備場所の建設計画ができていないことに対して非常に申しわけなく思っている。本年2月の県議会で示された県のスケジュールでは、今年度中に骨格となる整備方針を決定し平成32年度に工事着手が行われることとなっている。整備方針の今年度中の策定に向け、県市で協議を進めているところであり、今後も精力的に進めていきたいとの答弁があっております。
 そのほか、住民投票を実施した場合の費用の試算、争点が複数ある場合に住民投票を実施することの妥当性、市が責任を持って県庁舎跡地に公会堂よりも使いやすく、専門性が高い施設をつくる決意、公会堂廃止後の課題について、利用者の声を聞きながら、市の責務として解決していく考え、廃止条例の可決後、速やかに解体をしなかった理由、公会堂等文化施設のあり方検討委員会の意見を尊重する考えについて質すなど、内容を検討した次第であります。
 さらに、委員会におきましては、県との交渉に期限を決めて取り組む本市の決意を確認するため、三藤副市長の出席を要請した次第であります。
 この点、三藤副市長から、県の懇話会の提言の中にホール機能が含まれていたことから、近隣での重複を避けること、また、現市庁舎跡地での整備と比べて工事の着工時期が早くなることなどから県との協議に入ったところである。現在、県とは年度内に基本的な方針を固めるよう協議を重ねているが、仮に今年度末までに協議が整わなければ時期的なメリットが消え、市民を待たせることになるため、当初念頭に置いていた現市庁舎跡地での検討を開始していく必要があるのではないかと考えているとの答弁があっております。
 以上、審査過程の概要を申し上げましたが、その結果、理事者に対し、公会堂の廃止以降、文化活動を行う市民に不便を生じさせているのは事実であるため、利用する市民に寄り添った対応をし、市民の文化活動の停滞の解消に最大限努めるべきである。
 県庁舎跡地でのホール機能の整備について、年度内には方向性を示し、将来の姿を見せることを市の責務とすべきであるとの意見が出されるとともに、原案に反対する立場から本条例案には公会堂の解体中止と再使用をすることについて賛否を問う内容となっているが、請求の要旨においては、再使用を求める期間が不明確であり、市庁舎の建設場所の記載もされるなど、複数の要素が含まれており、署名した人々がどの部分に賛同したのかが住民投票の争点としては不明瞭であり、約1億円もの市民の血税を投入して住民投票を実施するには到底これになじむような署名の集め方ではなく、仮に住民投票を行ったとしても、その民意がどこにあるのかはかることができない懸念があること。
 これまで公会堂等文化施設のあり方検討委員会などの各種会議や、アンケート調査などで市民の意向を取り入れながら進めてきた経過があり、建築的価値について発言する機会は十分にあったことから、このような運動は検討段階で行うべきであり、かつ、市が行ったアンケート調査では、公会堂の解体には一定のコンセンサスが得られていること。
 市民の安全安心を守ることは行政の責務であり、公会堂跡地に防災機能を有した市庁舎を早急に整備することは、熊本地震や東日本大震災の教訓からも、本市の喫緊の課題であること。
 議会においても平成7年から20年以上の歳月をかけ、新市庁舎の建設について検討し、特別委員会の中でも行政側に意見を伝え、方針を決定しているものであり、1万7,098人の署名の重みは理解するものの、これまでの状況等を総合的に勘案し、住民投票を行うべきではないことなどを主な論拠とする反対意見が出されましたので、採決の結果、賛成なく原案を否決すべきものと決定した次第であります。
 以上で、環境経済委員会における審査報告を終わります。=(降壇)=

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◯議長(毎熊政直君) これより質疑、討論を行います。26番浅田五郎議員。
      〔浅田五郎君登壇〕

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◯26番(浅田五郎君) 第123号議案「長崎市公会堂の解体中止と再使用に関する住民投票条例について」、委員長の報告に反対の立場で意見を申し上げます。
 私は、今回の第123号議案の審議の中で2つだけ勉強いたしました。政治の力は、賛成であれば黒でも白になるし、反対であれば白でも黒になるということです。いま一つは、議会の審議は重要度は極めて軽いということです。住民投票の約1万7,000人の署名には全ての方々が、委員の皆さん方が重いと言われながら、結果は全く軽かったという、この2つの勉強をいたしました。
 そこで、この2つの視点に立って反対討論をいたします。
 初めに、平成26年2月議会で第4号議案として提案されました「長崎市役所の位置を定める条例の一部を改正する条例」が、今回提案されなかったのはなぜかです。
 この平成26年の2月議会では、3点セットで議案を提案したと理事者は申しております。1つは、この市役所の位置を定める条例の一部改正、桜町から魚の町への位置の変更。2つ目が公会堂を廃止する条例。3つ目は市役所の基本設計に伴う予算。3つ目の内容、これはプロポーザル方式による選定審査会の56万4,000円、新市庁舎の建設設計費1億2,300万円が提案されましたが、これらの予算は減額修正され、他の2つ、公会堂の廃止条例、市役所の位置を定める条例は継続審査となったのであります。そして、3カ月後の平成26年6月議会では、長崎市役所の位置を定める条例の一部を改正する条例は撤回されたのであります。
 田上市長は撤回の理由を、公会堂を解体し、その敷地に市庁舎を建設という方針に変わりはありませんが、長崎市公会堂条例を廃止する条例が継続して審査されております。大型事業の集中が予想される中、技能労働者の確保や円滑な施工が見込めるのかというようなご意見等がありまして、私は、まずはMICEを優先したいと言っております。このようなことから、現状として新市庁舎整備を提案する時期ではないとの判断に至りましたと説明をしております。
 今、日本の建築は東日本大震災、そして東京オリンピック、熊本地震で人件費、建築費の材料の高騰で、公共の箱物の発注は控えているのが常識であります。そして、この9月議会でもMICE建設へ向けての関連予算を、次の11月議会に出すということですから、市役所も公会堂も田上市長の頭の中にはなかったのではないかと思うのですが、先ほどこの議会で、市長は公会堂跡地に市役所と答弁したものの、議案は撤回したままで、その撤回したときの状況と何の変化もないのであります。質問に応じても、MICEをやりたい、市役所も建てたい、公会堂も建てたいでは、迷走している田上市長を拝見したに過ぎないのであります。
 次に、今議会に第117号議案として公会堂解体工事の契約議案が提案されていますが、公会堂前広場の都市公園をそのままにして、物理的にあの広場を使用しないで壊すことができないのではないかと思うのです。地域住民の憩いの場所であり、市民のイベント、おくんちの踊り場など、都市公園の代替地の公園は市役所別館を水道局のある庁舎を計画しているようでありますが、そんな手続もしないで、平成23年度は公会堂施設整備事業として受水槽設備取りかえに約450万円、屋上の防水改修工事に約1,800万円も使っております。
 市長が老朽化、老朽化と言う割には、雨漏りは全くなく、熊本地震でもびくともしない公会堂であります。改修するだけで十分使えると思います。1日750万円の金利を払っている長崎市の財政状況であることも、皆さん忘れてはなりません。
 次に、公会堂を壊しても、原爆後の長崎の復興シンボルとしても、文化的価値などについてはその精神性は受け継いでいくと言っておりますが、精神性の引き継ぎとは一体何でしょうか。軍艦島・端島は、日本の産業資産としての世界的な評価があり、全てを壊して端島のレプリカでは、その精神性は認められないのではないでしょうか。今後30年間で104億円の市の持ち出しが、30億円としてもこの整備費用は必要であり、それと同じく公会堂にしても戦後復興のシンボルとして、世界規模で善意の募金をしていただいた方々に何と申し開きをするかであります。建物が存在して初めて歴史性などが評価され、精神性が引き継がれるものと思っております。
 次に、県庁跡地の計画の1つである文化ホールに飛びついて、公会堂の代替施設をお願いしたのは長崎市からです。それを色よい返事がないから、平成28年度末まで返事がないと公会堂はこの市庁舎に建てると言っているようでありますが、長崎市議会の品格は、長崎市議会の矜持はいずこにありや。市長が建てるMICEの中に3,000名のホールを説明しておる今日、県はそれなら長崎市でどうぞ、県は県の予定どおり進みますとも返事が返ってくるのではないでしょうか。いつまでも続く長崎市政の迷走です。
 最後になりますが、長崎都市遺産研究会のフェイスブックの投稿をご紹介いたします。
 この投稿者は、長崎県立南高校第9回卒業生で、日本大学理工学部建築学科の教授をしておる今村雅樹教授で、田上市長の3年先輩に当たる方です。ご紹介いたします。
 「市長、あなたのまちづくりの姿勢は間違っています。残念ですが、あなたの文化意識では近代史遺産を観光に生かせないでしょう。長崎市は宝の山なのですが、目利きが市の中にないのが残念に思います。原爆に対してのあなたの姿勢は評価しますが、まちづくりはあなたは素人です。故郷を思う一人として、遠く東京からあなたが長崎を壊していくさまを見るのが残念です。後世の長崎人が評価を下すでしょうが、早く気づいていただきたいのです。」
 これは、9月1日に投稿されたものです。住民投票に反対の立場である市長に、そして議員の皆さん方に、住民投票の意議は何のか、一度ならず二度も私どもは否決しようとしておりますが、どうぞ議員の皆さん方の心からのご理解と市民力と言った田上市政を押すことが、実は皆さん方の力でないかと思っております。
 皆さん方に希望を求めて、反対討論といたします。ありがとうございました。=(降壇)=
      〔中村照夫君登壇〕

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◯32番(中村照夫君) 市民クラブの中村照夫です。
 ただいま議題となっております第123号議案「長崎市公会堂の解体中止と再使用に関する住民投票条例について」、委員長報告に賛成し、原案に反対する立場から意見を申し上げます。
 私は、この十数年、長崎みなと薪能の代表として、長崎における日本の古典芸能の中心にあります能楽の長崎における普及と振興に取り組んでまいりました。野外における薪能は、松が枝や水辺の森で3回、屋内ではブリックホール、公会堂、市民会館、チトセピアホール、NBC文化ホール、歴史文化博物館等の公演を行ってまいりましたが、使い勝手が悪いところ、ちょっと狭すぎるところなど、ここは最高という施設はありません。公会堂においては、建物の老朽化はもちろん、使う側から見ても楽屋が少ない、練習室がない、搬入口が狭くて危険など、使い勝手が悪く、見る側からも音響が悪い、トイレが少なくバリアフリーに対応していないなど、構造的問題を多く抱えております。ほかの都市と比較して、長崎において今最も不足している文化施設は、100名程度の中規模で、舞踊や民謡、能や狂言など、日本の古典芸能を楽しむ施設が全くないことであります。ちなみに、九州7県の中で能楽堂を持たないのは長崎県のみであります。
 私は、中規模程度で日本の古典芸能を鑑賞できるような施設が、今必要ではないかと思っております。
 ここで少し、公会堂存廃の経緯について触れたいと思います。
 昭和60年代に長崎の経済界からコンベンション施設整備の強い要請と運動がありました。これを受けて長崎市も、茂里町の三菱機工跡地にコンベンション施設の国際展示場計画を進めておりましたけれども、バブル経済の崩壊等により計画が暗礁に乗り上げ、平成4年に当時の本島市長が計画を変更し、昭和37年に建設したこの公会堂の老朽化が目立ち、建て替えを迫られていることから、公会堂の代がえ施設としてブリックホールを整備することを決めたわけであります。
 この際、施設が北部に移動することから、中心部には中規模の文化施設が必要との考えから、長崎港の常磐・出島地区に県立の芸術劇場を整備してもらい、完成後に公会堂を廃止するとしたものであります。その後、常磐地区には県美術館が完成し、諏訪の森には歴史文化博物館が整備されましたが、私どもも文化団体の立場から、歴史文化博物館には能楽堂をつくってほしいとの要望をいたしましたけれども、結局茶室が取り入れられ、芸術劇場なるものは実現することなく今日に至っております。
 当然のことでありますけれども、長崎のまちづくりは単に行政と議会だけで決めていくものではありません。多くの市民の皆様の意向を把握するために、審議会や検討委員会を開き、学識経験者や経済界、自治会のご意見等を聞きながら、我々議員も市民の皆様の声を聞きながら、議会で議論を重ねております。
 平成23年度には、学識経験者、文化団体や利用者代表などからなる公会堂等文化施設あり方検討委員会でも老朽化、耐震結果を受けて、不足する機能を確保するためには公会堂は建て替えるべきとの報告が出されております。
 今回、条例制定請求をされております代表は、長崎県世界遺産学術会議委員長、長崎県県庁舎跡地活用検討懇話会会長、長崎県美しい景観形成審議会会長、長崎県文化財保護審議会会長、長崎市出島史跡整備審議会委員、長崎駅周辺エリアデザイン調整会議委員、長崎市伝統的建造物群保存地区保存審議会委員等を務められ、長崎県や長崎市のまちづくりに最も学識経験者としてのご提言をいただいている方であります。今、140万長崎県民がその実現を熱望しております2つ目の世界遺産の誕生も、教会群の世界遺産から隠れキリシタンの歴史に視点を変えて再出発できたことも幸いであります。
 また、代表は、長崎市がこれまで公会堂等文化施設あり方検討委員会を設置し、学識経験者、文化団体及び利用者団体の舞台技術者のご意見をいただいた上で公会堂の廃止を決定したことを十分ご承知であります。条例制定請求の代表は、現在の公会堂は補修費が25億円かければ30年、40年使える施設となる。新しく建て替えれば45億円かかると主張されました。そんなに多額の金をかける必要があるのでしょうか。多くの市民はそんなに金をかけなくても、もっと使い勝手のいい文化施設を希望しているのではないでしょうか。
 私は、条例制定請求をされている代表が県庁舎跡地活用検討懇話会の会長としてまとめられた県庁跡地の3つの機能、にぎわいや交流の創出を図る多目的広場機能、出島と一体となった歴史・情報発信機能、芸術性の高い演劇や公演のできるホール機能の中で、十分市民の理解を得られるホール機能が実現可能と考えております。
 私は、署名された1万7,098名の意思が皆様の手によって集められ、議会という場に届けられたことについては大変評価をいたしますとともに、心から敬意を表するものであります。しかしながら、大きな問題としては、住民投票が了となった場合、住民投票を請求した側の意見でしか住民投票運動が行われない点です。本来、住民投票で住民の意思を問う場合、住民に選択肢を公平に示した上で、何がより必要かを問う必要がありますが、この状況では住民投票を請求した側の意見のみが伝えられ、関心が薄い方が判断を誤ることが懸念されます。この点、我が国では選挙で議員を選ぶ議会制民主主義がとられ、住民の方から信任を得て、責任ある立場からさまざまに勉強をし、研究を重ね、さまざまな観点から議論を積み上げ、長崎のまちに何が必要なのか、何をやらなければならないのか、そのために何を諦めなければならないのか、時には苦渋の決断を迫られることもございます。また、重要な案件につきましては、事あるごとに審議会や検討委員会を開き、多くの皆さんのご意見をいただきながら、長崎のまちづくりが進むべき方向性を決定してまいっております。
 今回の公会堂の解体につきましても、そのような議論の末に議会制民主主義の中で二十数年にわたる本島、伊藤、田上の3代の歴代市長と、また、市議会も特別委員会での検討を重ね、一貫して方針が変わることなく積み上げてきたものであり、その結論は非常に重要であり、何よりも尊重されるべきものと考えております。
 しかるに私は市議会議員として、また元市議会議長として、この長い期間方針決定にかかわった者として、そして市民の負託に断固として応える趣旨から、第123号議案「長崎市公会堂の解体中止と再使用に関する住民投票条例について」、委員長報告に賛成し、原案に反対する意見を申し上げ、議員各位の理解をお願いする次第でございます。ありがとうございました。=(降壇)=
      〔大石史生君登壇〕

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◯17番(大石史生君) ただいま議題となっております第123号議案「長崎市公会堂の解体中止と再使用に関する住民投票条例について」、委員長報告に反対、原案に賛成の立場から、日本共産党を代表し討論を行います。
 まず、討論の前に、本日北朝鮮が核実験を強行したというニュースが流れました。事実であれば、被爆地長崎の市民として強く抗議をするものです。
 では、討論に移ります。
 公会堂については、2015年3月末日をもって廃止となり、本年6月議会で解体の予算が可決されました。そういった中で、有効署名数1万7,098人分の署名を集めた方々の思いや努力に深く敬意を表します。
 さきの6月議会で、私たちは代替施設の建設のめども立っていない中、ただ長崎県知事や副市長の言質をもって、市の願望として県庁跡地に文化施設の建設を進めるであろうという判断で、旧公会堂を解体することについては、余りにも乱暴なやり方で認めることができないという立場を表明してきました。公会堂に関しては、現公会堂を改修し長く再利用する環境を整えるのか、それとも代替施設ができるまでの短期の利用なのか、建設場所をめぐる問題などさまざまな意見があると思います。しかし、さまざまな意見がある中で、長崎市の方針に対し異論を唱え、住民投票をして、市民の意見を聞くべきと賛同した方が1万7,098人もいるという現実に背を向けるべきではないと思います。方向性が違っていても、異論が出れば立ちどまり、市民の意見を聞きながら議論し、そして、よりよい方向へ導いていくことこそ市長が掲げる市民力ではないでしょうか。そして、市民から託された私たち議員の責務ではないでしょうか。
 住民投票は地方自治法により、住民の意思がより政治に反映するように直接政治参加が制度的に保障されている制度です。この点からも、住民投票は行うべきだと、改めて主張し、討論といたします。=(降壇)=
      〔山本信幸君登壇〕

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◯22番(山本信幸君) 公明党の山本信幸です。
 第123号議案「長崎市公会堂の解体中止と再使用に関する住民投票条例について」、公明党を代表し、委員長報告に賛成し、原案に反対の立場から意見を申し上げます。
 私たち公明党は、住民投票条例の請求に当たり、1万7,098人という多くの市民の皆さんが署名された事実を重く受けとめる必要があると思います。一方で、このような住民投票を求める署名が行われ請求がなされたことは、長崎市の姿勢にも問題があると考えます。公会堂代がえ施設を含めたまちのグランドデザインを早期につくり、市庁舎の位置を明確に示す必要があったと思います。そのことが、市民との合意形成に問題を起こし、このような結果となったことは残念でなりません。
 住民投票は、地方自治法に定められた市民が直接請求できる権利であり、住民自治の精神から尊重すべきものであるとの考え方に何ら変わりはありません。そのために、我が党としてさまざまに議論し、議案について論議を深めてまいりました。しかしながら、今回の請求人より提出された原案では、公会堂の解体中止と再使用について賛否を問われているものの、条例制定の請求書には趣旨として、公会堂の解体を中止し永続的に再使用する。県市庁舎跡地に文化ホールができるまで一時的に再使用する。市役所新庁舎を現地もしくは県庁舎跡地に建設することが記載され、署名された市民がどの趣旨に賛同されたのか明確ではなく、今後どう対応すべきか選択できず、多額の費用がかかる住民投票の争点としては不明瞭であるものと考えます。
 さらに論議を深めると、県庁舎跡地への建設が望めない中で、予定される公会堂跡地に強固な防災機能を有する市庁舎を早急に整備することは、最優先の課題であるとの結論に至りました。何よりも熊本震災の教訓から、市庁舎倒壊の可能性が最大の問題であることが明白となり、老朽化し機能性も悪い本市の市庁舎を、最も安価に早急に建設することこそ行政の最大の責務であると考えます。
 また、市長より一時的な再使用であっても約13億円もの改修費を要すること、外観を残し、永続的に長期にわたる使用を目指し、約30億円の費用をかけても根本的な問題を払拭できないことが、旧公会堂の廃止を決定した最大の理由との意見が示されております。
 以上の観点から、長崎市公会堂の解体中止と再使用に関する住民投票条例は、制定すべきものではないと考えます。
 なお、参考人の意見にもあったように、公会堂を廃止したことで市民の文化芸術活動が制約されていることについては、ブリックホールの料金徴収の問題など、利用される市民へのさらなる寄り添った支援を強く要望し、委員長報告に賛成、原案に反対の討論といたします。=(降壇)=
      〔橋本 剛君登壇〕

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◯2番(橋本 剛君) チーム2020の橋本 剛です。
 ただいま議題となりました第123号議案「長崎市公会堂の解体中止と再使用に関する住民投票条例について」、環境経済委員会の委員長報告に反対し、原案に賛成する立場から、チーム2020を代表して意見を申し上げます。
 何よりまず、条例案では公会堂の解体を中止し、再使用することに賛成か反対かを問う内容になっているにもかかわらず、条例制定請求者が署名を集めた際の趣旨に、解体を中止し再使用してほしい、せめて新しい施設ができるまで再使用をさせてほしいと切実なる心情を述べていることを捉えて、市長意見書は、一時的使用か、永続的使用か、どちらを求めているかわからない、このことから住民投票条例の投票の選択肢として不適当であるといった趣旨のことを述べ、このことが大きな論点となって否決に至ったことについて、市民にとって全く不幸なことであったと思います。
 行政や議会の理屈から言えば、確かに一時的使用と永続的使用では予算規模も異なりますし、他の政策に与える影響も全く異なるということから、これらは別物だということかもしれません。しかし、住民投票請求をした市民にとっては、使用できる期間が仮に短くなったとしても、それでも解体を中止してほしいというのが、最もかなえたい切実な訴えであったはずです。
 その解体中止と再使用を求めた人々に対して、一時的使用か永続的使用かが不明確だから、選択肢になり得ず、条例として制定が不可能と突き放すことは、市民側から見れば行政や議会の理屈で市民がいろんなことを一緒くたに署名を集めたかのように決めつけられているようなものであり、行政や議会への市民の信頼というものを大きく損なうのではないかと危惧をしております。行政の側から見れば、一時的使用と永続的使用では要する費用が倍程度の違いが出るため、これはどちらでもいいから解体中止と再使用だけで投票で賛否を問われても困るんでしょう。しかし、困ることであっても、賛否が選択肢にならないこととは異なります。
 最近、小池百合子東京都知事が築地市場の豊洲移転について、一時中止の判断を行いました。このことは連日新聞紙上をにぎわしておりますので、先刻ご承知のことと思います。このことは都知事の先導で進んだわけですが、これが仮にそうではなくて、東京都議会での住民投票条例の請求であったと仮定してみてください。都民から築地市場の豊洲移転は凍結してほしい。せめて、平成29年初めに予定されている土壌汚染の詳細調査結果が出るまで凍結してほしい。そういう趣旨で築地市場の豊洲移転には凍結するに賛否を問う住民投票条例が出てきたとします。このとき、都知事が一時的な凍結か永続的な凍結か不明確であり、この選択肢では住民の意志が正確に反映されないと意見書で述べて、都議会がその論点で住民投票になじまないと結論づけ、築地市場の移転を断行することになるのが当然の結果なんでしょうか。私はそうは思いません。
 一時的なのか、永続的なのかを問わず、有権者たる条例制定請求者が求めている凍結についての賛否を問うことが論点なのであり、そこに示されていない事項、すなわち調査結果が出るまでの凍結なのか、あるいはその後も当分の間凍結するのか、こういった事項は執行する東京都に任されていると見るべきだと思います。
 本市の公会堂の住民投票条例制定請求でも同じであります。解体を中止して再使用することの是非を問い、賛成が多くて、市長が仮に再使用をすることを決断する場合、その期間については市が条例案について一時的なのか永続的なのかわからないと考えるのであれば、これは行政の提案に委ねられてると考えるのが妥当であると考えます。このことは、住民投票の結果には、地方自治法では法的に拘束されない、このことからも明らかです。
 したがって、この点を理由とした住民投票条例案に関する環境経済委員会での結論は、市長意見書における、あくまで解体をしたいという市長の主張に引きずられたものであり、チーム2020としては賛成できません。
 市民から市政を調査監督し、意思決定する役割を期待されて選出されている市議会として、市長意見書に追随することなく判断をしていただきたいと思います。
 次に、これまで議論して決めてきたことだからという理由は、地方自治法に住民投票の規定があることの趣旨を、いささか小さく見ているのではないかと思います。住民投票条例制定の請求は、いまだ決まっていないような案件ではそもそも出てこないものです。市長への署名提出、議会陳情などでは到底間に合わない最後の手法として出てくるものと思います。
 これまで議論して決めてきた案件だとして、立ちどまろうとしない場合にこそ、住民投票条例制定請求が出てくると言っても言い過ぎではないと思います。ですから、これまで議論して決めてきた案件だから住民投票はなじまないというのであれば、それはあらゆる住民投票の機会を今後とも認めないと宣言しているととられはしないか。私たちの地域で市民の参画の気運が大きく損なわれるのではないかと、こういうことを危惧しております。
 以上、本議案に関する委員長報告に反対し、原案に賛成する立場から、チーム2020の討論といたします。ご清聴ありがとうございました。=(降壇)=
      〔武次良治君登壇〕

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◯8番(武次良治君) 明政クラブの武次良治です。
 ただいま議題となっております第123号議案「長崎市公会堂の解体中止と再使用に関する住民投票条例について」、委員長報告に賛成し、原案に反対する立場から意見を申し上げます。
 本条例案は、公会堂の解体中止と再使用することについての賛否を問う内容となっています。しかしながら、請求の要旨においては、再使用を求める期間について新たな文化施設ができるまでの一時的な使用なのか、あるいは未来永劫解体しないということなのかが明らかでありません。また、公会堂の歴史、文化的、建築的価値や新市庁舎の建設場所についても現地建て替えか県庁舎跡地かといったことに言及するなど、複数の要素が含まれており、署名した方々がどの部分に賛成したのかが不明瞭であります。あわせて、署名活動のあり方に対する疑念もあり、今回の署名が真に民意を反映したものであるという確信を持つことはできません。本事案のように、個別の課題を住民投票に委ねようとするには、選択肢を明確にする必要があると考えます。約1万7,000人の署名の重みは理解いたしますが、仮に約1億円もの市民の血税を投入して住民投票を実施したとしても、その民意がどこにあるのかはかることができない懸念があることから、原案に賛成することはできません。
 しかるに、そもそも、このような条例制定がなされた要因は、平成26年6月議会で不退転の決意を持って県との協議を積極的に推進し、早急にホール機能について県市の意見をまとめるよう附帯決議をしたにもかかわらず、今日まで県市の協議の進展が図れず、しかも閉館後の約1年半、解体することなくそのままの状態で放置していた行政側の怠慢によるものと言わざるを得ません。
 この点、県との協議のトップである副市長から、今年度末までに成案を入れられなければ、当初の市の方針であった現市庁舎跡地での検討を開始しなければならないとの決意表明がありました。その決意を尊重し、早急な県市での協議がなされることを期待いたします。
 なお、これまで公会堂を使用してきた市民に不便を生じさせていることは事実であります。市においては、市民の文化活動の停滞解消に最大限の努力を尽くすとともに、市の責務として年度内には代替施設の場所を決定し、将来の姿を示すことを要望しまして、長崎市公会堂の解体中止と再使用に関する住民投票条例の制定に反対し、委員長報告に賛成の討論といたします。=(降壇)=

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◯議長(毎熊政直君) 質疑、討論を終結し、ただいま議題となっております第123号議案「長崎市公会堂の解体中止と再使用に関する住民投票条例について」採決いたします。
  本案に対する委員長の報告は、原案否決であります。
 この採決は記名投票をもって行います。
 議場の閉鎖を命じます。
        (議場閉鎖)

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◯議長(毎熊政直君) ただいまの出席議員数は、議長を除きまして39名であります。
 投票箱を改めさせます。
       (投票箱点検)

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◯議長(毎熊政直君) 異状なしと認めます。
 念のため申し上げます。委員長報告どおり決することに賛成の議員は所定の白票を1票、また、委員長報告どおり決することに反対の議員は所定の青票を1票、議席順に順次投票をお願いいたします。
        (投   票)

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◯議長(毎熊政直君) 投票漏れはありませんか。
  投票漏れなしと認めます。
 投票を終了いたします。
 開票を行います。
        (開   票)
        (開票終了)

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◯議長(毎熊政直君) 投票の結果をご報告申し上げます。
 投票総数 39票
 これは先ほどの出席議員数に符合いたしております。
 そのうち、
 白票 30票
 青票 9票
 以上のとおり、白票が多数であります。
 よって、第123号議案は否決されました。
 議場の閉鎖を解きます。
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[記名投票者氏名]
  賛成票(白票)
    福澤 照充議員   林  広文議員
    後藤 昭彦議員   平野  剛議員
    山口 政嘉議員   武次 良治議員
    木森 俊也議員   相川 和彦議員
    山崎  猛議員   西田 実伸議員
    永尾 春文議員   久 八寸志議員
    向山 宗子議員   山本 信幸議員
    浦川 基継議員   堤  勝彦議員
    筒井 正興議員   佐藤 正洋議員
    板坂 博之議員   野口 達也議員
    五輪 清隆議員   梅原 和喜議員
    中村 照夫議員   馬場 尚之議員
    井上 重久議員   吉原日出雄議員
    吉原  孝議員   岩永 敏博議員
    奥村 修計議員   深堀 義昭議員
  反対票(青票)
    幸  大助議員   橋本  剛議員
    中里 泰則議員   池田 章子議員
    中村 俊介議員   中西 敦信議員
    内田 隆英議員   大石 史生議員
    浅田 五郎議員
──────────────────────
        (議場開鎖)

投稿者

長崎都市遺産研究会
長崎都市遺産研究会

長崎都市遺産研究会は、都市の中で埋もれていたり、解体されようとしている貴重な建築遺産を発掘、保全し、次世代に継承するための支援活動を行う市民団体です。

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