長崎市公会堂の現地における存続と保全補修による再生要望に関する陳情:市議会委員会議事録2014.03.05

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長崎都市遺産研究会メンバーによる市議会環境経済委員会での陳情

2014.03.05 : 長崎市:平成26年環境経済委員会 本文

          =開会 午前10時0分=
向山宗子委員長 出席委員は半数以上であります。ただいまから環境経済委員会を開会いたします。
 なお、重橋照久委員より欠席する旨の届けが出ておりますので、ご了承願います。
 委員の皆様へお知らせをいたします。傍聴者が定員である7名を超えております。委員長といたしましては、傍聴席をふやして対応することといたしましたので、委員の皆様のご了承をお願いいたします。
 まず、陳情第3号「長崎市公会堂の現地における存続と保全補修による再生要望に関する陳情について」を議題といたします。
 なお、陳情人から趣旨説明を求めるため、参考人としてご出席をいただいております。
 参考人の入室のため、暫時休憩いたします。
          =休憩 午前10時1分=
          =再開 午前10時2分=

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向山宗子委員長 委員会を再開いたします。
 委員会を代表いたしまして、一言ご挨拶を申し上げます。
 参考人の方におかれましては、ご多忙中のところ本委員会にご出席をいただきまして、まことにありがとうございます。
 本日の審査の進め方ですが、まず初めに参考人の方から趣旨説明をお受けし、次に参考人の方に対しまして質疑を行います。参考人の方は、委員長の許可を得て、マイクを使って発言をお願いいたします。また、委員に対しては質問をすることができないことになっておりますので、ご了承をお願いいたします。
 まず、参考人の自己紹介をお願いいたします。

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中村参考人 本日、私どもの長崎都市遺産研究会が提出しました陳情書の内容の説明時間をいただき、まことにありがとうございます。
 私は、中村享一と申します。

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鉄川参考人 同じく、鉄川 進でございます。よろしくお願いいたします。

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三浦参考人 長崎都市遺産研究会研究員の三浦豪介と申します。よろしくお願いいたします。

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向山宗子委員長 それでは、陳情の趣旨説明をお願いいたします。

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中村参考人 本来であれば、研究会代表の林 一馬が説明に上がるところでございますが、県外に出張で出席できないので、副代表を務めております、私、中村享一が説明をさせていただきます。
 早速ですが、長崎市公会堂の現地における存続と保全補修による再生要望に関する陳情。
 1.陳情の趣旨。長崎市公会堂は、世界都市長崎固有の貴重な歴史的、文化的資源であり、今後のまちづくりにおいても重要な役割を担う、かけがえのない地域資源です。それゆえ私たちは、長崎市公会堂の解体を前提とした新市庁舎建設計画には反対をせざるを得ません。公会堂の現地における存続と、保全補修による再生を要望いたします。貴市議会において、よろしくご対処賜りますよう陳情を申し上げます。
 1番、被爆都市長崎の戦後復興を記念する公共施設であり、その象徴的な遺産であること。
 原爆投下によって壊滅的な被害を受けた長崎を、恒久平和の象徴都市として再生させる長崎国際文化センター構想の一環として計画されたものです。復興土地区画整理事業は、昭和25年までに完了すべく事業決定を行いましたが、昭和29年においても66%の進捗でした。昭和30年ごろにはようやく土地の整理にめどがつき、復興を本格的に取り組むことが可能となってきたころです。
 昭和30年、設立準備会の趣意文案に、国際文化の向上を図って恒久平和の理想を達成することは、真に長崎市民に負わされた神の使命であるというようなことが書かれてあります。お手元に配付した資料は、同委員会が作成した資料です。冒頭に、永井博士の詩が記されております。また、3ページには西岡竹次郎長崎県知事の強い思いがつづられていますので、ごらんいただきたいというふうに思います。
 この構想は、県、市、商工会議所が一体となって取り組み、一連の文化施設建設には全国から寄せられた浄財を含む復興資金が充てられました。その中核をなす公会堂は、建設資金を市が拠出しましたが、現在ではそれら文化施設の中で残された、いわば最後の公共施設であります。この意味で、公会堂は戦後復興期における最重要な生き証人である、その時代を如実にあらわす歴史的資産です。
 2、公会堂の現状は都市景観的に見て極めてすぐれた資質を有すること。
 公会堂の明快で端正な外観デザインは当該地区の都市景観に対して良好な品格を与えているのみならず、そのデザインは地区の今後の都市景観形成に向けても主導的な役割を担っていくものと高く評価できます。また、その前面広場は、近年高密化しつつある中心市街地において、数少ない開放的で利用価値の高い空間を提供しています。また、既に築50年を経た公会堂は、そのすぐれた景観的資質において国の登録有形文化財に推薦される資格を持つものと考えます。
 3番目、公会堂の建築は長崎市内に現存する日本近代建築の代表例であること。
 1962年竣工の公会堂は、長崎市出身の建築家で早稲田大学教授であった武 基雄氏が設計したものです。西岡知事が武氏にぜひとも公会堂の設計をということで実現された記念建築物です。武氏は、同世代である東京大学の丹下健三氏らと並び、戦後日本の復興期から高度成長期にかけて数々の公共建築を手がけ、我が国における近代主義的建築の定着と発展に多大な貢献を果たした建築家の一人でした。
 公会堂は武氏のまさに代表作であり、現存する数少ない作品です。公会堂がこのように重要な建築物、歴史的価値を持つことは、DOCOMOMOJapanが既に日本近代建築100選に入っていることからも十分証明されます。武氏のプロフィール及びDOCOMOMO建築が世界遺産に多く登録をされていること及びDOCOMOMOについては、添付の資料がございますので、ご確認ください。
 公会堂は、長崎市が全国に誇り得る地域資源であること。
 公会堂の建築には、そのすぐれた外観のみならず、材料の選定から各部の造形に至るまで数多くの美点を見出すことができます。中でも、極めて親密で一体感のあるホール空間が達成されていることは、全国的に見ても高品質な劇場空間として特筆されます。市民に長く利用され、50%を超える稼働率を保っているほどに、市民の愛着が認められていることは偶然ではないでしょう。耐震構造や設備面での不足と老朽化、バリアフリー対策など機能面での不備等、現代的な観点からその欠陥を指摘し得るのは事実ですが、しかし、これらは全て最新の技術をもってすれば、その補修、改善の実現は難しいものではありません。
 長崎市公会堂建築に関しての説明経緯を見ますと、耐震上問題があることが懇話会や委員会等で報告されております。市民へのアンケート調査においても、建築寿命65年の設定や構造耐震指針Is値の説明を、建設専門家ではない市民が見たときに大変に不安を持つように見えます。公会堂は、診断結果がIs値0.55と記載されておりますが、12ポイント中、最低の値が記載されております。補強によって十分に耐震可能なレベルです。添付した神奈川県青少年センターの改修資料は、Is値が0.16と、公会堂より条件の悪い建築物ですが、諸問題をクリアし改修を行いました。
 最後のページに、維持管理計画は30年の計画が示されていますが、その後も利用するような計画になっております。

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鉄川参考人 私どもの趣旨は、ただいま中村副代表が申し上げたとおりでございますけれども、私のほうから若干の補足をさせていただきます。
 こちらのA3の資料を皆様にお渡しをさせていただいておりますけれども、その中で、中村参考人が申し上げました長崎市民に対するアンケートの内容に関して、あるいは各審議会の資料の中で使われている耐用年数65年という鉄筋コンクリートの建築の基準に関するものでございます。耐用年数65年と申しますのは、建築学会の指針で、設計時に65年程度の耐用年数を持つように設計をしましょうという数字でございまして、これがイコール寿命ということではございません。これは、さまざまなコンクリートの状況に応じまして大きく変わってまいります。その時点の調査によりまして、コンクリート自体の寿命があとどのくらいあるかということは検討ができます。
 既に長崎市の調査が終わっておりまして、その資料も見せていただきましたけれども、中性化率、強度においても、先ほど中村副代表が申し上げましたように、非常に厳しい状態ではございません。65年という耐用年数が正しいのであれば、同時に長崎市が発表しております西坂教会、二十六聖人記念館、これもほぼ同時期に建設されたものですけれども、これもあと15年たったら壊さなくてはいけないということになってしまいます。このあたりのきちんとした説明をなくして、市民アンケートあるいは審議会で検討されたことの結論に関してはやはり皆様もそういう立場で見ていただきたいというふうに思っております。
 この件を若干補足をさせていただきました。
 以上です。

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向山宗子委員長 以上でよろしいでしょうか。
 それでは、これより参考人に対する質疑に入ります。

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毎熊政直委員 若干お尋ねをさせていただきますけど、私ども、行政の流れといいますか、構築という面で、この公会堂の存廃に関しては、平成14年から平成15年にかけて存廃問題検討懇話会で十分な議論がなされて、そしてこの10年間を経て現在の結論を得ているという認識に立っております。そうすると、この長崎市のまちづくりというものはやっぱり10年スパンで、また10年後の長崎市民の中心になられる方、いろんな議論をなされる方々が10年後は10年後の課題として、またいろんな協議をなさって、この長崎のまちづくりを進めていかれると思うんですけど、そういう面で、この公会堂が今回、耐震の問題もあります。そして、確かにおっしゃるように、私どもも長崎市民として誇りに思う建物であるし、また、愛着も十分感じております。
 しかし、やっぱりこの老朽化ということはどうしても否めない。そしてまた、この公会堂の機能という面でも、今後、文化施設として十分な機能を発揮していくためには建て替えざるを得ないというような認識で今まできていたわけです。そして、今回、実は公会堂を廃止する条例の議案が出ております。でも、これはそういう手順を踏んできた中で、それ相当の判断がなされた上での廃止というんですけど、ただ、私たち、この廃止にも納得はしておりません。その面は、また違う面で長崎市の今後の10年後、20年後のまちづくりのグランドデザインが今、私には見えないんです。そこを含めて、皆さん、鉄川さんは都市計画審議会でも一緒にお話をさせていただいたこともあるんですけど、私どもは、また皆さんが、その公会堂存廃もですけど、公会堂を含めて、私たちは廃止した後、公会堂をつくるとも、つくらないともお聞きしておりません。つくるとすれば、どこにつくるかもお聞きしておりません。ですから、私はまだ今、これはよくよく議論できるようなものじゃないなと、今日感じておるんですけど、皆さん方が、例えば県庁跡地に一部、きょう林さんがお見えになっていたら、委員長をなさっていますからお尋ねしようと思っていたんですよ。せっかく県庁跡地のすばらしい公共用地があるわけですから、あの跡にそういう公会堂的なホールも考えて案として浮上しているということも新聞等々で聞き及んでおりますけど、そういう長崎のグランドデザイン、まちづくりという面で、そういうふうに、どうせいずれにしても多額のお金を要して、一時期改修をしても、やっぱりもう期間的にあんまり長くは使えないということは明白な事実だろうと思うんですよね。
 ですから、そういうものも含めて、長崎のグランドデザイン的なものを含めて、公共用地を有効に生かすため、そういうご協議というのは、皆さん専門家でしょうからなさっていると思うんですけど、そういう点に関してはどのようにお考えですか。

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中村参考人 今、ご指摘にあったことは、大変もっともなことだと思います。それで、私どもは当初、DOCOMOMO建築であるということが重要であるということを訴えて活動を始めました。ただ、正直申しまして、市民の方たちにはそんなに大きい反響がありませんでした。ただ、私たちが原爆復興のためにつくられたというようなことを、要するに、強く知りたいということを願い始めました。結局、きょうお手元にお届けした資料は、まさにどういう気持ちでその公会堂がつくられたかということを示すものであります。
 先ほど説明しました趣意文の、西岡県知事の強い思いというのは、やっと土地、グラウンドが整理できてきた、さあここから本当の復興を始めるぞという強い意志のもとに始められた事業であるということを知るにつけ、このことを含め、歴史的な建造物として重要であるということを訴えなきゃいけないというような活動にだんだん、複合的になってまいりました。
 一方、正当な評価という面においては、懇話会等の資料を見るにつけ、構造的な問題が余りにも重要視され過ぎて、その歴史的背景だとか、長崎の文脈、先ほど言われました20年、30年も見据えた計画という点を考えるに至りまして、この公会堂を触るということは、やっぱり50年、100年の計で物を考える必要があるというふうに考えたわけです。
 長崎の都市全体軸の中で公会堂の重要性を認識するに当たって、長崎市役所の位置だとか、おっしゃるように県庁の位置だとか、それから長崎駅前の開発だとか、そういうものを総合的に判断して行うべきだと我々も考えます。
 そのことに関しましては、市役所に対して公開の討論会をやらせてくださいという申し入れをいたしました。民意をもっとはかることと、それからいろんな条件を整理してから討議していただきたいというお願いをしましたが、もう十分にそれは審議を尽くしましたという回答をいただきましたので、そういう意味では、あとこの議会においてその点をさらなる審議を深めていただきたいという強い願いがありまして、陳情というような形にたどり着きました。

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鉄川参考人 今の毎熊委員のご質問に対して、回答させていただきます。
 まず、今までの審議の流れということがございました。これに関しましては、特に公会堂そのものを残すか残さないかということに関する審議というのは、実際には、今おっしゃいました平成16年の懇話会が唯一だというふうに認識をしております。
 その懇話会においては、残すという結論だということの結果を私どもは確認をしております。その後の委員会に関しては、むしろ新しい公会堂の機能であるとか、新しい長崎市庁舎の機能であるとか、そういったものに対する議論がほとんどを占め、公会堂を残すか残さないか、あの建築が必要か、必要でないかという議論はほとんどなかったというのが事実だろうというふうに思っております。
 さらに、もう補強しても長くないんではないかというお話がございましたけれども、それはそんなことはございません。直近の例で言いますと、鳥取県庁、これが築50年の建物ですけれども、耐震補強あるいは中性化の進行をとめるという工事をすることによって、はっきりこれから50年使うということを鳥取県は明言をしております。今の技術をもってすれば、鉄筋コンクリート造の建物、調査結果を私どもも見まして、もともとコンクリートがひどく弱っている状態ではございませんので、そういったあと50年とか、そういうことを設計の中ですることは十分可能であるということをお答えしておきたいと思います。
 それから、まちづくりについてというお話がございました。実は私どもが一番心配しているのがそこでございまして、現実に県庁が移転をします。長崎市役所が移転をするということで計画をされています。結果として、県庁から市役所という長崎にとって一番重要な業務地域が、業務地域でなくなりつつあるのは、皆さんご存じのとおりです。どんどんと居住系の施設の建設が始まっております。県庁が移転すれば、この方向は加速するでしょうし、恐らく市役所が今ではない場所にいけば、あの付近の業務的な用途というのは非常に減ってきまして、長崎が最初にできた地域です。あの場所がですね。長崎は、当初の6町というのはまさにあの場所ですけれども、その長崎の一番重要な場所が、居住が悪いとは言いませんけれども、市の中心たる業務区域の形を変えてしまうのではないかということに関しては、非常に危惧をしております。
 以上です。

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毎熊政直委員 ありがとうございました。例えば、長崎国際文化センター構想の一環としてということで、これは長崎水族館のときにも同趣旨、そしてまた、県立図書館等々、同趣旨のいろんなそういう協議をさせていただいた経緯がございます。しかし、私どもは皆さんの本当のそういう熱意というのは、十二分に理解するんですけど、ただ、本当に将来の長崎のまちのあり方、そういうものをまた確かに文化的施設は大変重要なものだという認識に立った上で、しかし、将来の長崎市の全体像、その中の一環としての公会堂とか、そしてまた、逆に言えば、公会堂と類似施設であるブリックホール、そして、今度またMICE構想も駅の裏に出てきております。そういうものと複合してまちの価値観、経済価値観も含めた中で、トータル的な判断をしなければならないというふうに、今私どもは考えているんですよ。
 それで、確かにおっしゃることはわかるんですけど、でき得れば、もう少し早く、今もうまちの形を、まさに今後の将来の長崎のまちの形を今からきちんと決めていこうというときに、もう少し早くこういうご議論を示していただければなと思うんですけど、やっぱり、どうしても物というものは、建物も含めて、どうしても老朽化する、いずれはその時期が来ると思うんですよね。ですから、確かに補修であと50年もてますよとおっしゃいましたけど、そのお金を今度は逆に、その補修費なりの多額の費用を要するということもついてくると思うんですよ。
 そういう面で、いろんな角度から私どもは判断させていただきたいなというふうに考えているんですけど、私の考えはおかしいでしょうか。

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中村参考人 老朽化しているということと、それと時間がここまで来てしまったというご指摘は、本当にもっともでございます。実は、先月DOCOMOMOの世界代表のアナ・トストヨスさんが東京にお見えになりました。私はそのトストヨスさんにお会いしてまいりました。
 長崎にDOCOMOMO建築が2つあることの意義をお伝えしました。日本の中で、市に2つもDOCOMOMO建築を持っている市というのはほとんどないんです。長崎というものが国際的な都市であるということの認識も、アナ会長はもちろん持っておりました。それで、実はこういう建築が残っていたら、要するにDOCOMOMO等の国際機関が国際会議等を行うことが長崎において可能かという質問をいたしました。可能でしょうと、検討させてくださいという返事をもらいました。
 ということは、この建物の価値というのは、建物の利用者の今現在の価値だけではなくて、要するにこの建物自体が世界に発信できる機能、それから評価も認められているという建物なわけです。時間が遅くなってしまったのはまことに申しわけないんですけれども、来年、被爆70周年を迎える直前に、この建物を60年前、復興後10年後のところで思い立った最も重要な建築を潰すということは、長崎の歴史だとか、そういうストックされたものを全てなくしてしまう可能性があるということで、これはやっぱり踏みとどまったほうがいいんじゃないかと我々はこの資料等々をどんどん探していくにつれ、やはりその気持ちを強くしてきたというのが現実で、訴え続けているというところでございます。

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池田章子委員 きょうはお疲れさまです。すみません、素人の考え方から何点かお尋ねしたいんですが、まず、私たちが議会の中で公会堂の耐震化の問題で話題になったときに、公会堂は耐震化をするためにはホールの中に柱を立てなければ耐震化ができないと言われたんです。要するに、ホールの中に柱が立ってしまってはホールとしての効果が、機能を果たさないから、もうこれは耐震化しても意味がないのであるという説明を私たちは理事者から受けました。
 ところが、お聞きするところによると、そういうことはなしにできるということをおっしゃっているのかなというふうに思うので、まずその1点ですね。
 それから、ここにいただいた資料に耐用年数が16年で、その後50年も使っていくことができるのだというふうにおっしゃるわけですけれども、鳥取の場合ですね、50年使っていけるとおっしゃるわけですが、日本の建物は、欧米の建物と違って、構造がコンクリートと石というのでまた違ってくるのかなと思うんですけれども、そういうふうなずばり公会堂自身が30億円の耐震補強で今後50年使えるということが、しかもその柱とかが立たなくてもちゃんとやっていくことができるということを建築の専門家の方々が思っていらっしゃるのかということが1点。
 それから、すみません、DOCOMOMOというお言葉がたくさん出てくるんですが、多分私を初め、市民の多くはDOCOMOMOの価値を知らないと思うんですね。もう少しその辺もお尋ねしたいと思います。

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中村参考人 柱のことですが、構造の補強にはいろんなさまざまな手段があります。間に柱を立てることによって、要するにその構造的なはりの強度を上げるという方法があります。これは、ただし1つの手段ですね。ほかに、壁を厚くしたり、それから床下に免震的なものを持ってきたりだとか、いろんなさまざまな手段があります。
 これは、もっと具体的に検討をすれば方法は1つ、2つの選択肢じゃなくて、10、20という選択肢が出てまいります。そこまでの検討をされていないことに、私たちはもう少しちゃんと検討をしてくださいというようなことで、ヒアリングをしておりますと、1,800席ある席は必要ないという意見を多く聞くわけです。今の収容人員ですね。そうしますと、今多く出てきているのが1,000席から1,200席ぐらいあれば公会堂は十分だと。そうしますと、横のところに空間がきっちり出てくるわけです。横を詰めて座席を詰めてまいりますので、そういうところに柱状のものを挿入していったり、壁を厚くしていったりすると、ホールの機能を損なわずに計画することは十分に可能です。
 今、この資料を見ていただきますと、本当に可能かということがわかるようにということで、これは神奈川県の資料ですが、ホールの改造というのをされております。これはIs値が0.16と、もっともっと長崎市公会堂よりも状態の悪い建物でありました。ただ、これも柱を真ん中に立てることなく、壁を厚くしたりだとか、上の階の荷重を軽くしたりだとか、壁の量をふやしたりだとかという技術を足すことによって耐震設計を可能にしています。
 この建物を見て、要するに突っかい棒を立てたような状態というのは見れませんが、こういうことが可能だということを皆さんご存じない、専門家でないとなかなか知らないので、その情報を出したいというように思いまして、この資料を添付いたしました。
 それから、同じくこの資料の一番最後のページを見ていただきたいんですが、以降30年の建物計画、保全計画の資料がグラフによって添付されております。ということは、この建物は今から30年使いますよと、30年目にはこれだけの補強を行って、また使い続けますよという意図です。建築というのは、例えば、今の市役所の説明では65年間もちますよというのを、工事費を65年で割っていますけど、65年全く変わらないでもち続けることはできないです。公会堂と同じように。ですから、40年目から50年目ごろには、恐らくここには20億円、30億円のお金をつぎ込まないと維持ができないということです。
 今までの説明は、工事金額を65年で割っております。それが安いですよという計算です。でも、現実にはこういう計画をやることで30年以上もつ建物ができて、工事費に関しても、改修費を30年で割ればいいわけですから、改修工事のほうが金額が高くなるという論法は、今ありません。もし、そういう論法が成り立っているんであれば、国、県の発注した建物というのはやっぱり問題ありというような形で中断をされているというような事実があります。

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鉄川参考人 建築の構造に関しては、今、中村参考人が申し上げたとおりですけれども、基本的に、日本の建築文化というとのは、少し古くなったら壊すという形で今まで経緯がございます。ただ、これは世界的に見ると非常に特異な例です。
 先ほど、50年たって老朽化という話がございました。ホールはまちにとってシンボルです。これは洋の東西を問わずそうだと思います。地域の方がそこに集まって、音楽や演劇を楽しむ、誰かのお話を聞く、そのためのホールというのはまちのシンボルであります。そこのまちのシンボルであるホールの歴史性とか貴重性というのは、ある意味、まちの人の誇りです。
 例えば、ウィーンの楽友協会ホールとか、パリのオペラ座とか、ニューヨークのカーネギーホール、全て100年を超えた建物です。古いからといって壊すことはありません。近代建築と言われているシドニーのオペラハウスにしても、あれでも公会堂よりも古いんです。そういうまちの歴史であるホールを大事にしていくことによって、それぞれのまちの人はそれぞれのまちのアイデンティティーを育てていくんです。そういうものを日本はどんどん壊してきた。ある程度壊すことは仕方がないんですけれども、DOCOMOMOJapanが選定をした100選の建物というのは、九州に6つしかないんですね。そのうちの1つである長崎市公会堂というのは、十分大事に長崎市民が育てていけば、長崎市民のアイデンティティーになる建物だというふうに私たちは確信をしています。
 そういった意味で、私たちというのは、これ残してくださいと言ったところで何の得もないんですけれども、やっぱり建築ということを仕事としてやっている者の一人として、これが壊されるということは長崎市民の良識が問われる、そういうふうに感じています。
 先ほど、DOCOMOMO建築は100あるということをお話ししましたけれども、そのうちの9つがホール建築です。残念ながら、そのうちの1つというか、半分は解体をされたものがありますけれども、ほかの9つのホール建築のDOCOMOMO建築というのは全て補修をして、壊す計画は今のところ1つもありません。長崎市だけです。長崎市のそういった建築文化に対する気持ちといいますか、そういったものが今問われているというふうに非常に感じておりまして、もうこれはやはり私たちはいても立ってもいられないということでこういう活動をしているということをご理解いただければと思います。
 以上です。

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向山宗子委員長 今、池田委員が言われましたDOCOMOMOについて、もう少し詳しくお願いできますか。

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中村参考人 DOCOMOMO建築というのは、近代建築が今までは余り評価されてきておりませんでした。古い建築の評価。世界遺産なんかに関しても、そのような評価で進んできたわけです。
 ただ、近代建築といいましても、もう100年を超えるような状況になってまいりました。それで、建築がどんどん解体されたり消失していくというような事態に陥りまして、DOCOMOMOモダン・ムーブメントと、要するに近代の建築デザインによって生まれた建築を登録して保全、それから維持活動をしようというような形で生まれた団体がDOCOMOMOです。これは、近現代建築に特化した世界的な保護団体というふうにお考えください。
 それと、資料提出しておりますが、今、DOCOMOMO建築の中で、世界遺産に登録された建築がもう既に数多くあります。その資料はきょうの添付した資料にもおつけしております。そういう保護と、それから建築文化のある1世紀に近い建築文化をちゃんと後世に伝えていこうというようなことを主眼に置いた世界的な保護団体がDOCOMOMOでございます。
 もう1つ、つけ加えさせていただきますと、実は鉄筋コンクリートによるホール建築というのは、たかだか100年ぐらいの歴史しかないんです。パリのシャンゼリゼ劇場というのが1900年代初頭にできました。もちろん、現役のホールとして活躍をしております。近代建築自体は、とてもまだ期間的に短い建築ですが、その中でももう既に保全活動というのが行われております。
 実は長崎には1916年、30号棟という軍艦島に近代建築のものすごいものができております。長崎は、日本における近代建築のある発祥の地だというふうに私は思っております。40周年記念の実行副委員長も私行っているんですが、実はそういう古い長崎の独特の近代建築と、それから公会堂だとか、二十六聖人につながる、こういう近代建築の一大ミュージアムみたいなものが実は長崎市に存在をしているわけです。
 その部分の、その中間が抜けてしまうということへの危機感もあって、DOCOMOMO建築というものと歴史ということを最初に訴えかけ始めたということでございます。

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池田章子委員 ありがとうございました。公会堂というのは、やっぱり私たちにとってはホールですから、建築がいかにすばらしくてもホールとして使えなければ、やはりそれを存続させるだけの財力というのは長崎市には多分ないと思うんですね。ホールとしてあの建物をずっと使っていくことができて存続できるということが前提でなければ、恐らく保存はできないと思うんですが、それができるということを伺ったのは勉強になりました。
 あと、それを言うのであれば、例えば、まさに今公会堂を取り壊してそこに市役所を建てようとしているわけですけど、市役所自身も、建築費200億円をかけなくても、もっと安いお金で耐震補強しながら、ずっと使っていけるというふうに判断していいんでしょうか。

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鉄川参考人 市役所に関しましては、私も市役所の審議会に委員として参加させていただきましたので、さまざまな議論もさせていただきました。
 先ほどの、特にコンクリートの中性化に関しましては、市役所は本館に関しましては極めて良好です。ただ、別館に関しては余りよろしくないので、私の建築の技術者としての見方からすると、本館は使えるけど、別館は建て替えたほうがいいかなというレベルのものです。
 特に本館は非常にいいコンクリートを打っていまして、中性化率というのが、ある意味、寿命をはかる1つの目安なんですけれども、ほとんどゼロに近いところがほとんどですね。ですから、もちろん耐震性は全く足りませんので、さまざまな耐震補強をしないといけないと思いますけれども、構造体としては十分使えるレベルにあるというふうに思います。
 ただ、建築というのは、構造がもてばそれでいいというものではありません。やはりそこにある幾つかの機能的なものが、今、満たされているかということも同時に検討しなくてはいけないだろうというふうに思っています。
 今後、オフィス利用というのは空間が必要となっておりまして、1つのオフィスビルの階高はどんどん高くなっています。なかなか今の市役所の本館の建物というのは、構造的にはもちますけれども、そこまで含めて考えてできるかどうかというのは、きちんと検証をする必要があるかとは思います。
 ただ、今後の地方自治体の庁舎の考え方というのは、ここで議論する問題ではありませんが、ぜひ議員の皆様方にはお考えいただきたいと思います。特に、IT化が進んで必ずしも全員が同じところで仕事をしなくてはいけないのか、そういった問題は出てきます。審議会のデータにもございましたけれども、今、長崎市民が市役所に来る用事の9割ぐらいまでは、今の本館の1階と2階にある窓口に来られるんですね。こういったものというのは、早晩ほとんど近くのコンビニで済むようになるでしょう。そうなると、では本当にそれを市民が集まるところの1つの大きな建物をつくらなくてはいけないのかということは、これはやはりご検討いただく内容だとは思います。
 以上です。

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五輪清隆委員 どうもお疲れさまです。ちょっと聞きとめなかったかもしれんですけど、陳情人のほうから、いろんな改修をすれば50年もつんだということで強調されているわけですけど、当然、陳情人の皆さんは建設をされた経緯、その外観含めて、その関係で存続していこうということでの陳情ということで理解しているわけですけど、先ほど毎熊委員からもありましたように、私自身も一番感じているのが、そのときは議員じゃありませんでしたが、そのとき感じたのが、ブリックホールができたときに公会堂については解体しよう、そういう経緯があったということで私は聞いているわけですね。
 そうなったときに、やはりそういうDOCOMOMOの関係でいろいろあったんでしょうけど、私もここ10年間の中でいろんな検討懇話会とか、いろんな議論された中で、もう少し早目にこういう陳情がされとったら、いろんなことを含めての審議ができたのかなという、そういう気持ちもあります。ですから、今回だめだというわけじゃないんですけど、今回、急に陳情された、この経緯を1つと、そして50年残すために長崎市が30億円ということで、これは耐用年数が15年ということでしているわけですけど、50年残すためにそういう改修費が幾らぐらいかかるのか、それと、陳情の項目にありました公会堂の利用率というか、50%を超えているから高い使用率みたいな感じで表現しているわけですけど、全国的に見たときに、これが50%超えたら高いんですよという、そういう認識なのかどうか、この3点についてお伺いします。

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中村参考人 まず、経緯ですけれども、いろんな懇話会だとか、委員会等の意見を参考に、市長が市役所を移転するというのを表明されたのは昨年の2月というふうに記憶しております。それで、実はDOCOMOMOはすぐに保存要望書を出したんですね。そのことは、実は私たちも長崎にいながら知りませんでした。そういう貴重なものだからぜひ残してほしいという保存要望書が市のほうには郵送で送りつけたけれども、そのことは論議になっていなかったようです。
 それで、ただ私どもの代表をしている林 一馬は、やはりこの建築が壊されることに関しては大きい問題であるというようなことを新聞紙面上で表明をいたしました。ただ、それに関して協力者がなかなか出なかった。それと、建築の人たちが中心になって建築的趣味で残せと言っているんじゃないかというようなことで盛り上がらなかったという現状がありました。
 それで、私たちは急遽、そういうことをもっと通知する努力をしようということと、それと市民の人たちにわかりやすく伝える努力をもう一回しようということで、実は公会堂を貸し切りました。その中で、公会堂のよさを現実に現場で見てもらいながら、要するに歴史的価値だとか、それから建築自体が持っているポテンシャルみたいなものを訴えようというような形でのことを去年の11月3日に行いました。その会場でのさまざまな意見の中には、当然、使いにくいだとか、いろんな反対、問題を指摘する意見もございました。
 ただ、そのことが計画上、例えば改修の計画上解決できる問題が、こういう問題に関してはこれぐらいでできますという説明をしていく中で、一般の市民の方たちが「じゃ、残せばいいですね」というような意見が多く寄せられました。それで、私たちは発起人会をつくりまして、存続を要望するというような事項を市民と、それから県外の人たちに対して配布、呼びかけをいたしました。
 残念ながら、市民での理解は非常に少なかったんですけれども、全国から建築の専門家を中心に、文化人だとか、そういう人たちが「いや、そんなものどうして潰すんですか」という数多くの意見が集まったことで、やっと長崎市民の人たちも、県外の人たちからはこういうふうなこととして見られているんだというような状況に変わりまして、その保存要望書を提出したいという要望を出したのが昨年の12月です。
 結局、1月10日に市長に会って、直接手渡しをするというような状況になりました。おくれましたが、要するに決定をされるであろうというような方向で動いていたのは知っておりますが、決定をしたのは昨年の2月、ただし、何の決定だったのかというのは、私たちはよくわかりませんでした。市長が言った、議会は何も結論を出していないというような状況しか聞いていなかったんで、議会でまだ決まっていないものはやはり認知をしてもらおうというような形に経緯を持っていった次第です。これが最初の経緯です。
 それから、改修費の件ですね。実は30億円というように試算をされています。似たような規模が、今治がやっぱり丹下健三がつくった建築があります。建築当初の、要するに建築年代もほとんど同じです。それがこちらは2億4,000万円で建設されて、向こう側は7,000万円で工事をされた今治のやつがあります。
 改修工事を全面やりまして、今7億かかっております。ということは、大体当時の建設工事の10倍ぐらいの予算を見ることぐらいがほぼ適切です。ほかの県を見ましても、そういう類似の数字が出ています。ということは、30億円はちょっと高いかなというのが我々の認識です。24億円ぐらいが、その当時の請負金額からいったところの数字になりますので、その金額に関しては、そういう回答をいたします。
 それから、利用率の50%が高いか、低いかということですけど、実は長崎市の入場者数で見ますと、1番はブリックホール、それから約1割ぐらいしか下がらなくて公会堂が続いているわけです。利用者数でいけば。要するに、稼働率というものよりもどれだけたの人数の方々がそこを利用しているかということに関して言えば、ブリックホールの次に公会堂、この2つが飛び抜けているわけです。それから以降のものは、要するに半分以下です。そういう利用状況ですから、その利用状況というのは長崎にとっても高い稼働率を持っているのと、解体をされようというようなところに至っている建築の稼働率が50%を超えているというのは、やはり高い稼働率を保っているというふうに言わざるを得ません。
 それと、ブリックホールがオープンしたときは、当初70%。それがだんだん下がってきて、今65%ぐらいになっています。公会堂は、その前75%ありまして、一時期50%を切っておりますが、今は50%台の中盤になっております。逆に、数が戻ってきているということがその稼働率の高さを示すことだというふうに考えます。

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五輪清隆委員 先ほど24億円ということでありましたけど、ここに長崎市は耐用年数が16年という想定の中の総事業費を30億円を見積もっていますけど、ここで先ほどの答弁では、50年は大丈夫だと、そういう年数で24億円ということで理解していいんですか。

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鉄川参考人 皆さんにご理解いただけるためにわかりやすく表示したということだと思いますけれども、建築というのは、先ほど中村副代表が申し上げましたとおり、それほど最初につくって、その費用で終わりというものではございません。よく最近言われているライフサイクルコストという建築のコストに関する考え方があります。つくってから解体までの全てのコストで言いますと、この新築の工事というのは半分もないんですね。新築のための費用というのはライフサイクルコストの半分もありません。そういったものです。
 50年もつというふうに言っているのは、鳥取県は確かに言っています。この50年というのは、これまでの経済の流れからするとかなりの変更、経済や建物に対する用途要求の非常に大きな変更がある年なんですね。もしかしたら50年先には鳥取県はないかもしれないわけですよ。そのときの行政の状況によっては。ですから、これはあくまで目安です。ただ、鉄筋コンクリートの基本的な設計基準が65年というふうに先ほど申し上げましたけれども、それは大体65年は少なくとも建設当時の性能をもち続けるように設計しましょうということなので、今やるとすれば、当然、これを前提に構造計画に関しては設計をするべきであろうというふうに思っています。
 先ほども申し上げましたけれども、この建物、ほとんど中性化に対しては問題がないところがほとんどです。悪いところも若干ありますけれども、十分補強で対応できるレベルです。ですから、逆に言えば、あと100年もたせようと思えば、100年もたせるような設計をすればいいことなんですね。ただ、建築は先ほど申し上げましたように100年ずっと同じ用途が求められるものではありません、基本的に。なので、100年もたせるというのは、逆にもったいないんですよ。
 ですから、特にこういった用途というのは、やはりオペラもやりたいとか、音楽専用にもっと変えようとかいうことが20年先出るかもしれない。そういったことに対しては上手に対応できるように、必ず50年もたせる必要は多分ないだろうというふうに思っています。
 ただ、構造に関しては、もちろん安全性が一番大事ですから、今の基準まで上げるということは絶対に必要ですし、それは十分できる今の構造体、補強も当然しますけれども、できるものというふうに判断をしています。

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山本信幸委員 先ほどから公会堂、いわゆるこういうホールはまちのシンボルだというようなお話がございました。私もそう思います。
 しかし、さまざまに、やはり費用対効果ですね、補強していって何年もつか、これは具体的にその効果がどうだというお話も今ございましたが、基本的には、その中で公共施設マネジメントを考えていく中では、それを30年、50年というのは1つの形として我々は考えていかないと、どうしても比較ができない。必要性も考えることができない。最後におっしゃった安全性の問題、これが一番だと思って、私たちは考えております。その中で、これを進めていきたいと考えているんですけど、やはりそう考えたときに、全体のまちづくりのシンボルとして考えたときに、DOCOMOMO建築物としてこれを残して、先ほどやはりいろんな形でまちの考え方があるんだということをおっしゃったんで、残したときに、その全体のまちとしての影響といいますか、効果といいますか、この全体のグランドデザイン、まちを考えたときに影響、効果がこんなのがあるんだよというのを、DOCOMOMO建築物をこれだけ残したものが、こんなのがあるんだよという例があったら、それを出していただくと、そこにまた真実味が出てくるのかなと思うので、ちょっと紹介していただければと思うんですが、ございますか。

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中村参考人 1つの、今DOCOMOMOが本部を置いているところがスペイン、バルセロナですね。そこにはDOCOMOMOの代表的な建築であるバルセロナ・パビリオンという建築物が再築されました。これは復興したんです。ところが、DOCOMOMOパビリオンを1つつくることで、世界中から人が集まっています。要するに、その建築とその環境を見たいと。
 実は建築をやっているメンバーは、鉄道マニアよりももっとコアなんですね。世界中行きます。要するに、山の手にある偏狭なところまで行ってでも、そのDOCOMOMOで認定されたル・コルビュジエの建築物だったら行ってみようと、リュックサック1つで建築学科の学生たちが行くわけです。
 でもそれは一部だというふうにお考えでしょうが、その背景には、そういうマニアが後ろについていきます。その次に来るのは、今度は旅行会社です。サグラダ・ファミリアをどれぐらいの人が見に行ったでしょうか。それから、シドニーのオペラハウスを見たくてどれぐらいの人が行ったでしょうか。
 結局、DOCOMOMO建築の、今日本の中でファイリングされているものは、その時代を要するに顕在化させようとして、私の個人的な意見ですが、世界遺産の近代建築部門の特化したところが、DOCOMOMOが今求めようとしているところのように思います。恐らく建築だとか、都市だとかというものに関しては市の資産として今からもっともっと評価されていくと。だんだん、要するに見かけはいいけど、安物の建築が日本中を埋めつくしていっている中で、古きよき時代のものをファイリングしていって、それを見せるという都市の政策こそ、長崎が維持し続けなきゃいけない重要なポイントじゃないでしょうか。
 DOCOMOMOの建築を見学するツアーを実は先月行いましたが、そのときには、公会堂から市役所を経由して聖福寺ですね、400年前の建物。それを見て二十六聖人まで回って、要するに長崎の都市の中で建築がどういうふうにたたずんできたかというようなことを見て回った。結局、そういうものを見たい人たちというのは、潜在的には相当いらっしゃいます。逆に言ったら、本質的な観光、ミュージアムみたいなことをやろうとしたら、そういう建物こそ残さないと、物がなくなって石碑だけが残るようなまちになってしまいますので、そういうことを我々は一番危惧しているというようなことでございます。
 以上です。

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山本信幸委員 この陳情書にもあるんですけど、国の登録有形文化財に推薦すべき、まさにその話から、今お話になったところはそういうところだと思っているんですけど、こういうふうなものにちょっとお考えだけお聞きしたいんですが、この推薦される資格を持つということでございます。登録文化財としてなるようなものに何らかの運動をしていこうとか、お話をしていたとか、それがもしあればちょっとお聞かせ願えればと思います。

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中村参考人 私、登録有形文化財の申請に数多くかかわりました。そのときに、要するに所有者が申請をしない限り受け付けないんです。逆に、所有者が壊したければ、これは書類として出さないです。実は最近の話で、波佐見町の講堂ございますね。あれは実は私どもの発起人会の代表でありました池田武邦先生、それから私も関係しまして、これは貴重な建物だから残そうという文面を書きました。それで認められました。
 要するに、今の段階で言えば、もうその資格は十分にあの公会堂は持っております。長崎市が所有者として申請をすれば、もう間違いなく通る案件だと確信をいたします。

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野口三孝委員 きょうは、参考人の方々は大変ご苦労さまです。もうほぼ質問等も出尽くしている感はするんですけど、資料等拝見をして、愕然と思うことは、被爆10周年でもって、時の行政が中心となって、いわゆる文化都市を目指そうということで公会堂を含む、あるいは水族館とか、そういった建物を建ててきた。そして、あたかも、被爆70周年の今日、これを壊そうということですよね。しかし、そこの一番のネックになるのは、先ほど質問ありましたけれども、やはり市役所新築、いわゆる新築移転、その場所は公会堂の跡地しかないんだというのが行政側の判断ですよね。そうしますと、残そうという運動をなさる、その一環として公会堂は残してくださいと、しかし後のことは知りませんよと。そういう表現はないにしても、市役所の問題等についてはそちらで考えてくださたいということではなくして、あるいはそれをセットにして市役所が現在地でもってこれを補強する、あるいは現地建て替え。そして新たにまた考えられるのは、これは県がいいよと言うかどうかは別にしても、県庁跡地を利用するとか、そういった方策が考えられてくると思うんですよね。
 そういった場合に、そういうことをセットにした、存続が運動の一番の目玉であることは理解するんですけれども、そういうものの一連の流れの中で、そういったことを提案しようというようなものはございますか。

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中村参考人 ことしの1月10日に市長にお会いしました際に、当然、野口委員がおっしゃるようなことが予想できました。それで、私どもは現地での建て替えの可能性を、2つの案を示しました。その大きな骨格を言いますと、今の議会棟のところでの高層階を建設すれば、3万平米のものが建ちますという計画をつくりまして、こういう状態の資料にまとめまして提出をいたしております。
 これも2つの案を用意いたしました。この現地での建て替えに関してもA案、B案と。確かに懇話会でA案、B案というのがございました。ただ、その案のほかにも、要するに幾つもの案が本来あったんじゃないかというように我々は考えましたので、A案の場合、我々が考えたA案、B案では、こちらを高層階にして、桜町のほうの公園と一体化した建物でいけば、ボリュームとしては、要するに5万平米が期間としても4年ぐらいのところでできますというような代替案も提出をしております。
 これが1つの提案でございましたので、こういう考え方もございますので、ご検討くださいと。今、野口委員おっしゃったように、県庁跡地の問題にしても、さまざまな意見がまだ残っている状態で検討が可能ではないかというように考えて、私たちはこういった案を作成し、提案をしております。

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向山宗子委員長 ほかにございませんか。
 それでは、以上をもって参考人に対する質疑を終わります。
 参考人の方におかれましては、大変お疲れさまでございました。ありがとうございます。
 参考人退席のため、暫時休憩いたします。
          =休憩 午前11時4分=
          =再開 午前11時8分=

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向山宗子委員長 委員会を再開いたします。
 それでは、本陳情についての理事者の見解を求めます。

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池田文化観光部長 陳情第3号「長崎市公会堂の現地における存続と保全補修による再生要望に関する陳情について」、文化観光部としての見解を私のほうから述べさせていただきたいと思います。
 長崎市公会堂は、昭和37年に市費により建設され、50年以上にわたり市民の芸術文化活動の発表、鑑賞の拠点として中心的な役割を担ってまいりました。また、公会堂が長崎国際文化センター建設計画の一環として、長崎市出身の建築家である武 基雄氏の研究室で設計され、戦災復興の取り組みの中で整備されたという経緯や、平成15年にはDOCOMOMOJapan日本の近代建築100選に選ばれるなど、建築物として評価されていることについても一定、理解をしております。
 しかしながら、建設から50年を経て、公会堂の施設や設備機器の老朽化は著しく、応急処置的な修繕では問題を解決できないほど厳しい状況にあります。平成21年度に公共施設の耐震診断を実施し、その結果を受けて庁内に設置した大型公共施設更新計画検討会議におきまして検討をした結果、公会堂は十分な耐震性能を有しておらず、公会堂の安全性の確保や文化施設としての必要な設備の更新など、施設が抱える問題点を改善するため、耐震補強と電気、機械、音響、調光などを含む施設設備全体の更新改修の工事をするとした場合、相当な費用を要すること、また、建物そのものの老朽化が進んでいるために、多額の費用を投じても、改修後、長期間の利用が見込めないことから、補強して延命することは困難だと判断いたしました。
 これを踏まえ、平成23年2月には、本市の大型公共施設の整備方針として、市庁舎は建て替え、場所は現在の市庁舎がある場所から公会堂を含む一帯で検討することとし、公会堂については、市民の芸術文化活動の場という機能は今後も必要であり、市庁舎の建て替え計画の具体化と並行して、機能の確保の方法について引き続き検討するとの方針を決定、公表いたしました。
 これを受け、公会堂が持つ文化機能や本市の将来の文化施設のあり方について議論をいただくために、平成23年度に、学識経験者や文化団体の代表者、利用団体の代表者、舞台技術者、公募した市民から成る公会堂等文化施設あり方検討委員会を設置し、並行して設置された市庁舎建替えに関する市民懇話会や市庁舎建設特別委員会でのご議論の内容などもお示ししながら、さまざまな角度からご検討をいただいた結果、公会堂は近代建築物として評価されているが、文化施設の価値としては現状では高くない状況にあり、老朽化、耐震結果を受けて、不足する機能を確保するためには建て替えるべきであること、耐震補強の投資効果を勘案すると、将来にわたり公会堂を使い続けることは困難であるといったご報告をいただいております。
 市庁舎につきましても、地震に対し脆弱で、庁舎の分散などといった課題が多く、建て替えも急がなければならない取り組みです。市庁舎の建て替えについては、平成23年度には市民アンケートを実施するとともに、長崎市庁舎建替に関する市民懇話会を設置し、ご意見を伺っており、懇話会における意見の傾向は、経済性や工事期間の短さ、中央商業地区との連携といった面などから、公会堂のある敷地を中心とした案が望ましいという意見が多く出されました。また、市議会におきましても、平成23年度から平成24年度の2カ年にわたり設置された市庁舎建設特別委員会において調査、検討いただき、種々ご意見をいただいております。
 こうした懇話会からの報告や議会からのご意見などを踏まえ、市内部で議論を重ね、事業の早期実現や経済性、また、まちづくりの観点からも、まちの広がりを保ち、まちなか軸に-歩近づき、まちなかのにぎわいにつながる効果等について勘案した上で、公会堂敷地を新市庁舎の建設場所とすることを決定し、昨年の1月に市の方針として公表いたしたものでございます。
 このように、新市庁舎の建設場所や公会堂の取り扱いにつきましては、時間をかけまして、これまで段階的に市の考えを公表するとともに、市議会の市庁舎建設特別委員会や市民懇話会などにより皆様のご意見等をいただきつつ、検討を進めてまいりました。
 こうした経過を経て、長崎市の限られた財源と市中心部の限られた土地の中で総合的に検討を行った結果、市庁舎の建て替えの場所は公会堂及び公会堂前公園敷地とし、公会堂は解体するという方針に至ったものでございます。
 このような議論等を積み重ねる中で決定してきた方針に基づき、市庁舎建設の着工などの各スケジュールとあわせまして、来年以降の公会堂のご予約を希望される利用者の皆様に混乱が生じることがないよう勘案し、このたび、公会堂を平成26年度末までで閉館させていただきたく、長崎市公会堂条例を廃止する条例を上程させていただいております。
 そして、まさに、これまで段階的にお示ししてきた方針を実行に移していく段階に来ておりますので、長崎市公会堂の現地における存続と保全補修による再生は厳しいものというふうに考えております。
 以上でございます。

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向山宗子委員長 これより質疑に入ります。

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五輪清隆委員 今、公会堂等文化施設あり方検討委員会、その報告を含めて、この中身についてはわかっています。大体、今の1,800名の規模を800名から1,000名ぐらいのものにしたらどうかという、そういう関係も出ているわけですけど、私は、このあり方検討委員会が100点とは思っていません。
 というのが、先ほど言いましたけど、ブリックホールができたときに公会堂は解体していこうと、その方針は変わっていないわけですよ。ですから、このことを今まで、例えば、今現在の公会堂の機能を含めてもしたと思います。そしたら、長崎市にあるブリックホール、市民会館、言うなれば、また平和会館もホールはあるわけですから、そこらあたりを含めて、どういう形の中で機能をやるべきなのか、そのことによって、今、公会堂の必要性はどうなんだという、そのことを含めて検証してから、このことを含めて、あり方検討委員会の皆さんとか過去の経緯もあるわけですから、そのことをやっぱり報告をしなければいけないということで思っています。
 今回の本会議の中でも、市長は質問の中で、公会堂については解体することとし、市民芸術文化の拠点として確保しますということで、確保というのが、例えば建設なのか、ほかの今、現在地にある施設を活用するのか、そこらあたり、わかりません。後ほど議案として上がりますから、その関係は触れませんけど、この関係については、やはり時間がたってでも最初決めたことをきちんと精査してから、このことをちゃんとした形の中でしないと、今回、先ほど陳情人から出ていましたように、そういうことも含めてしたのかどうか、どういう形の中でやっているのか、そして、陳情人のほうから50%ということで利用率があるということを聞いております。
 確かに公会堂については、年間17万人ぐらいの方が利用しています。横ばいです。そして、この関係についても、今の公会堂のホール、そしてまた、周辺にある会議室については、私が認識している中では、例えば、周りの会議室を利用したらホールの使用が許可できないというのが構造上、例えば会議をするときにホールでいろんなコンサートをしたら雑音が入るから、そういう関係で稼働率も結構低いということを思っています。
 そしてまた、24年度についてはふえていますけど、この関係については、市民会館が改修をしたから利用者が多かったんですね。ですから、そういう意味での、それぞれの今現在、長崎市内の施設を含めて、どのような機能、活用を含めて検討しているのか、これについてお伺いします。

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池田文化観光部長 今ご指摘ありました稼働率でございますけれども、現在、公会堂も57%ですか、市民会館もブリックホールも含めまして全国平均の稼働率と大体同じ、それか若干超えているということで、かなり稼働率は高いほうだというふうに考えております。確かに市民会館の補修のときに一時的に70%ぐらいまで上がったということでございますけれども、基本的には高いというふうに考えております。
 それで、昨年の1月に市の方針を出しました。その中で、文化芸術活動の機能の確保については一定必要だということで、その機能の確保について、我々は必要だというふうに考えております。
 ただ、昨年発表したときには、まだ県庁の跡地のお話も全く白紙でございまして、先日26日に県の最終提言がまとまったということで、3月末にご報告があろうというのがちょっとあります。そのような状況を、今から、そういう文化施設のあり方について、ますます今後いろんな議論が深まるものと思いますので、その中で、機能のあり方、機能の確保については考えていきたいというふうに考えております。
 以上でございます。

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毎熊政直委員 市長が3年前やったですか、突然、公会堂跡地に市庁舎を、あの周辺に建てるというような表明をマスコミにされて、それから、ここに今、部長はいろいろ市民懇話会とかおっしゃいました。一定の手順を踏んで、市民の理解を得ながらこの計画を進めてきたということを今おっしゃいましたけど、どれだけ本当に市民の理解が得られたんですか。懇話会の意見等々、中身というのは、どういうご意見が出て、そして皆さんはどういう形で理解を求めたのか。それが第一と。そして、公会堂を廃止すると言うならば、公会堂の機能なり、公会堂をまた新たに建てますよというものなのか、公会堂を廃止したままなのか、そういうことも決めずに我々議会に議論せろと言ったって、何を我々は想定して議論すればいいんですか。
 もう公会堂なくすんですか。つくるんですか。今の陳情で、先ほどの陳情人の方々だって、きちんと文化的施設はこういう形で、従来の歴史も踏まえた中で何とか生かして、そして、新たな機能を構築するためにと。そしてまた、市役所建て替えにおいても、現地建て替えならば、仮庁舎をつくれば相当の費用がかかるということで公会堂の場所を選んだというふうに最初は認識していたんですよ。そういうことも何も、費用的効果も説明せずに、いきなり公会堂廃止にしてくれと。そうせんと市庁舎が建てられんって。こういう無責任な話があるもんですか。我々は何を基準に判断すればいいんですか。
 だから、今の陳情人の方々がおっしゃることも、あなた方がやっぱりきちんとご説明をして、ご理解を得て、そして、こういう形で補完していきますよということを理解してもらうような協議をちゃんとしなくちゃいけないんじゃないですか。そこの辺どうお考えですか。

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池田文化観光部長 公会堂につきましては、先ほどもご説明いたしましたように、やはり老朽化がかなり著しいということがございます。これは、例えばこれから空調設備、それから音響、つり物合わせても4億円ぐらいの費用がかかると。それと例えばバリアフリーが少ないとか、楽屋が本当に狭い、練習場がないとか、あるいは搬入口が使いにくいという非常に構造上の問題があるということで、それを補修しても、先ほど言いましたが、相当のお金がかかります。補修したとしても期間も短いということで、存続は我々としては困難であろうという判断です。延命はできるんでしょうけれども、かなりお金を使い続けなければいけないという中で、公会堂を解体したいと。そして、そこに市庁舎の建設をして、市庁舎につきましては、当然市民の安全安心とか、耐震性の問題もございます。それから、一体的にやったほうが経済性も高まる。いろんな総合的な観点から、ここに新市庁舎を建設したほうがベストだろうということで判断をしているわけでございます。
 その後の公会堂につきましては、先ほど申し上げましたように、一定の稼働率、そういうのを含めたら、機能の確保、市民の皆様が芸術文化を行う機能の確保は一定必要だろうということで、いろんな状況を見据えながら、検討の跡地を、全体的な既存の文化施設のあり方も見きわめながら、今後、検討していくと。そういう流れでございますので、ぜひご理解をいただきたいなというふうに思います。
 それから、公会堂のあり方検討委員会のお話ですけれども、いろんな市民文化団体、学識経験者、それから、市民の皆様の22人の委員から、いろんなご意見をいただいております。当然その中では、非常に愛着ある建物だと、いろんな思い出があるという建物だということですけれども、先ほど申しましたように、建築的な価値は、これもDOCOMOMOのこともご説明をいたしました。建築的な価値は認めるが、文化施設的には、やはり評価は高くないというようなことで意見は一致しております。ただ、何か面影を残すようなことができないかというご意見もいただいているところでございます。
 以上でございます。

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毎熊政直委員 あと、公会堂を廃止する条例の議案が出ておりますので、その中でまた議論をしたいと思うんですけど、まだ、きちんとした市民説明、そういうものをもっと十分に周知を徹底するべきだと思うんですよ。これだけの大きな、公会堂廃止だって市役所だって、これは百年に一遍あるかないかの大事業なんですよ。それを、そういう周知が十分行き届かないようなやり方で、本当に小さな密室の中で協議を済ませた中で、我々議会だってよくわからないんですよ、今皆さんが頭の中に描いておられることは。だから、こういうことをきちんとやっていくことによって、市民の理解を得ながら、やっぱり行政というのは進めていくべきじゃないでしょうか。私はそう強く認識しておりますので、今後、このようなことがないような行政運営の仕方をやってくださいよ。
 以上です。

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山本信幸委員 先ほどの陳情人の話の中で、この文化遺産、いわゆる登録文化財の価値があるというような話がございました。今度、部長からの話の中では、文化財的な価値は余りないんだと、ないんじゃなくて低いんだというようなお話がございました。我々考えると、非常にこれ矛盾を感じていて、これ、登録文化財となるようなものならば、利用面で規制がかかったり、いろいろあるわけですよね。そういうとをきちっと丁寧にお話をしていただかないと、今の言い方だと、登録文化財1つだけ捉えると、利便性云々の話が飛んでしまって、全くよくわからない部分が多いんですよ。だから、そういうのをもう少し丁寧に、文化財としての価値はこうなんだと、それを利用すると、こういうところは使われないんだとか、利便性が損なわれるんだと、そういうところがだめだから壊すんだとか、そういうとをちゃんと丁寧に話していただかないと我々よくわからない部分があるので、どうですかね。

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池田文化観光部長 1点、文化財的価値が低いということは言っていませんで、文化施設としての使い勝手が悪いということです。文化財としての見方は、また別の一定の見方がございます。確かに50年過ぎたら、そういういろんな登録の基準というのがございまして、その中で審議されるものだと思いますので、私だけの評価では判断できませんけれども、そういう文化施設として、なかなか使い勝手が悪いということでご理解をしていただきたいと思います。

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池田章子委員 先ほどの陳情人の方々のお話が非常に説得力があって、私たちが今まで理事者の方々から受けていた説明は一体何だったんだろうかと。柱を立てなければ耐震ができません、ホールとして使えませんと。だから公会堂は壊すんですと。私も日本の建築というのはそんな耐久性のあるものだとは思っていなかったので、そういうふうにお金をかけながら50年延命できるということは一言も私たち伺っていないんですね。
 そういう中で、じゃ、公会堂を潰すのはやむなしではないかという判断に、どんどんどんどんそういうふうに判断を積み重ねてきて、もう今に至っているわけですよね。その前提が全て崩れたような気がしたんです、きょう。そこの陳情をされた方々の見解について、まず市の考えをお示しいただきたいと思います。

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松尾建築部理事 耐震の補強方法については2通りお示ししたと思うんですが、柱を4本立てるやつと、それと、壁及び大屋根の補強を行うという方法で、そういうふうな方法がありますよということでお示ししたと思います。柱を立てた場合には、劇場が狭くなって劇場の機能というのがなかなか難しいということでのご説明をしたと思います。そういった中で、耐震化のための費用がこれだけかかりますということをお示ししました。
 65年というのは、先ほどからいろいろ問題になっておりますが、これは一般的な建築学会で示されている目標とする一般の建築物として65年ということで申し上げていただけで、公会堂が65年たったら壊れますということで申し上げているものではございませんので、その点、理解をお願いしたいと思います。
 以上です。

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池田章子委員 ではお尋ねをしますけれども、私がちゃんと説明を聞いていなかったと、大屋根のほうを聞いていなかったのかもしれないんですが、陳情人の方がおっしゃっていることと理事者の方々の言ってることは、そういう工法とかなんとかいうことにかかわっては矛盾していないんですね。というふうに考えていいですか。

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松尾建築部理事 矛盾ということは、恐らく言っている、要は工法的にもお示しした案、2案が全ての工法であるということには我々も思っておりませんし、65年で壊れるなんて話も絶対ありませんし、そういった部分については矛盾はないと思っております。
 以上です。

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池田章子委員 矛盾がないということであれば、もっといろんな方法もあるんだということが事実なわけですね、じゃ。そして、陳情人の方がおっしゃるように、ずっとメンテナンスのためのお金は建物には全て要るので、メンテ代をかけていけば新築するよりも安くなりますよと。
 市役所の理事者の方々の説明では、老朽化が進み、文化施設としてリニューアルしていくためには相当のお金がかかってしまうというお話と、それから、陳情人の方々が、いや、新しく建てるよりも今のままリニューアルしていったほうが長持ちできますよと、お金もかかりませんよという、そこのところの矛盾はどうですか。

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松尾建築部理事 要は費用の問題で、延命化するために幾らかかるかという費用については、なかなか難しい部分があると思います。
 要は、今ある公会堂を全面的に改修して、いろいろな機能、例えば、トイレが少ないだとか、楽屋が少ないだとか、バリアフリーができていないと、そういった部分の改修というのも一定可能だと思いますが、新しく建て直すという分と考えた場合に、その機能が全て新しく建て替える分を100とした場合には、それはやっぱり80とか、そういった機能になってしまうんではないかと。費用対効果を考えたときに、100年使うとか、そういうふうなことになりますと、当然老化現象を抑えるような方法も必要になってまいりますし、いろんな措置を講じていく必要があるというふうに思っております。だから、一概にどっちか高い安いかということ自体は、なかなか判断はしづらいと思いますが、新たにつくる場合に匹敵するぐらいの改修費用がかかるんではないかというふうに思っております。
 以上です。

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池田章子委員 私が議員として、そういうふうな今までの理事者のお話をちゃんと理解できていなかった部分も、もしかしたらあるかもしれませんが、ただ、きょうお話を伺ったら、ああ、そうだったんですねというのは強く思ったんですよ。そういうふうに公会堂を今後、例えば50年延命することができますと。それに対して幾らかかりますよというシミュレーションと、あそこを取り壊して新たに200億円かけて市役所を建てて、また新たに公会堂機能を持ったものを何かつくりますよということを、それにどれだけのお金がかかりますよという、そういうちゃんとしたシミュレーションを市民の方に示せば、市民の方どっち選ぶかわからないなと、きょう思ったんですよね。
 確かに公会堂、今のままでは何十億かつぎ込んで直しても、あと十数年しかもちませんよと。余りよくなりませんよと言われれば、じゃ、もう仕方がないから潰しましょうという判断になって、今までずっと議論が進んできたと思うんですけれども、そうでもないというシミュレーションができるのであれば、もう少し市民にも十分説明をして、どちらがいいのかという選択が必要じゃないのかなというふうに私は思います。もう少し丁寧な本当、説明が欲しいなというふうに思っています。いかがですか。

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松尾建築部理事 やはりシミュレーションというのは、なかなか一概に簡単に出るようなものではないと。先ほどいろんな例示でご説明されましたけれども、〔発言する者あり〕先ほど13億円というのは、耐震補強をして、それに伴う改修、それと冷暖房、それに伴う費用で13億円ということでございます。31億円というのは、全面的改修を行ったときが31億円ということでお示しした数字でございます。内容的な数字、先ほどから出ています数字は、そういうふうな中身のものでございます。

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池田章子委員 これだけのお金をかけてここの改修ができて、こういうふうな耐震化をして、これに幾らかかって、何年あと使っていくことができるというシミュレーションがなければ判断できないじゃないですか。シミュレーション簡単にできませんって、そんな行政として無責任な回答はないと思うんですよ。やはり、そういうふうないろんな場合を考えて、それ1つではないかもしれない、幾つかのケースを考えながらシミュレーションをし、建築家の専門の方々のご意見も取り入れながら、こういうふうな選択がありますと、こういう方法が幾つか考えられますというシミュレーションをした上で、そういう材料を提示していただかなければ、市民は判断できないですよ。行政だって仕事が進まないと思いますけど。そういうシミュレーションはできないというのは問題だと思いますよ。
 ほかの方もご意見があるでしょうから、やめにしますけれども、私はちょっと、もう一度ゆっくり検討させていただきたいなと思いました。

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野口三孝委員 お伺いをしたいんですけれども、公会堂を中心に市庁舎を新築移転をすると。その中で、たびたび出てきているのが、検討委員会においてもそういう意見が多かったということですよね。
 ただね、ここでそれを聞いてびっくりしたのは、本会議の席では、市長はいわゆるパブリックコメント等を求める場合に、そういう市民の意見は多数決に従うんじゃないと言っているんですよ、ご本人が。だから、この検討委員会にしても、そういう市民の意見が多かったとおっしゃるけれども、何のことはない、市長判断でしょう。あなた方の判断でしょう。多数意見に従うというならば、ほかの面でも、本会議のいわゆる今申し上げた答弁なんかは撤回しなきゃ。これ大きく矛盾しますよ。
 それと、文化的価値については、陳情人とあなた方の意見と対立するのは、移転ありきであなた方は考えているから、しようがないとは思うんだけど、ただ、ここで今シミュレーションというお話が出たけれども、私はこれを次に議案があるから、その席で申し上げるべきなのかどうかわからんけれども、我々が一番心配すること、そして、市民の方も恐らくはそういう現実を知ると心配すると思うんですけれども、市庁舎を建て替える、公会堂を建てる、それから、MICEも建てるということになったとき、本会議での企画財政部長の答弁は、本気かというほど私はびっくりしたけれども、長崎市は100周年事業が終わって、その返済も終わったので借金ができますと。それはできるでしょうよ、借金は。しかし、借金をして建てるということは、その分が我々の子どもなり孫なり、そういう次世代にそのツケを回すということでしょう。それで、そこに建築等でかける金が仮にほかのものに使うとすれば、福祉だって、そういった面においても、もっと充実するわけですよ。そうすると、市民にそれを提示して、どっちを選びますかと。多数意見じゃないということを堂々と言う市長だから、その場しのぎで行くんだろうけどさ、そういった場合に、いわゆる財政的な先の見通し、シミュレーション、これを私は少なくとも50年先を見越したものが必要と思うんです。それを市民に提示すべきだと思うんですよね。
 だから、これは議案との関係も出てくるので答弁も難しいとは思うけどね、私はそういう準備があるのかどうか、求められれば、それを出すという腹があるのかどうか、その点、ご答弁を求めておきます。

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溝田総務局長 本会議場で企画財政部長が、確かに大型事業10事業を中心に議論がなされたときに、一定大型事業の起債償還が終わったので、公債費比率が下がっていきますと。大型事業をまた追加しても今のピーク時よりも小さいんですよというような趣旨の答弁をしたかと思います。これは恐らく、あくまでも現在、想定されている10事業全部したと仮定しての答弁だったかと思います。で、当然これを全部やって、たしか八百六十数億円で真水が350億円ぐらいだったかと私は記憶していますけど、財政担当じゃないので、ちょっと申しわけないですけど、そのくらいの数字だったと思います。
 そのときの推移というのは、企画財政部のほうでは、起債償還というのは、ある程度ルールで行きますので、シミュレーションはしているものというふうに考えております。これは企画財政部長ではございませんので、私からは、もうこの程度しか答えられないということで、ご了承をお願いしたいと思います。
 以上でございます。

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向山宗子委員長 ほかにありませんか。
 それでは、質疑を終結いたします。
 陳情第3号の取りまとめにつきましては、本日の審査を踏まえまして、正副委員長において案文を作成し、後ほど委員会にお示しをしてご協議をいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
    〔「異議なし」と言う者あり〕

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向山宗子委員長 ご異議がありませんので、そのように取り扱わせていただきます。
 暫時休憩いたします。
          =休憩 午前11時42分=

投稿者

長崎都市遺産研究会
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長崎都市遺産研究会は、都市の中で埋もれていたり、解体されようとしている貴重な建築遺産を発掘、保全し、次世代に継承するための支援活動を行う市民団体です。

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