以下のとおり、長崎市公会堂の保存・再生についてメッセージを頂きましたので、掲載させていただきます。随時追加予定です。
渡辺 満
建築家・旧早稲田大学武基雄研究室長崎市公会堂設計担当・渡辺満一級建築士事務所所長
「ヨーロッパの建物の寿命は数百年です。多世代に亘って使用されれば、次世代の人々は新築工事をせず、生活にゆとりが出来ます。彼らが、ゆとりある生活をしているのは、こういう簡単な事情からです。」
兼松 紘一郎
建築家・DOCOMOMO Japan名誉会員・兼松設計主宰
「僕の原風景。赤紙で召集された僕の父は、終戦直前にフィリピンで戦没した。紆余曲折があり、入学した長崎中学は移転したが、その近くに建ち、実家から歩いて数分のところにある長崎市公会堂は、神奈川にある自宅から長崎を想うときの僕の原風景になった。法事があったり、従弟や知人と会うために実家に行くと、いつの間にか足が公会堂に向かっている。」
高津 昭生
建築家・AA・旧早稲田大学武基雄研究室
「都市の歴史の保存!破綻・新築の繰り返しより改修で都市再生を!そろそろ解体・新築の繰り返しから改修で、都市の歴史・想い出の継続を!」
今村 雅樹
日本大学教授・建築家
「長崎市公会堂は、同時期の東京・世田谷区民会館(前川國男設計)と並ぶ日本の市民文化を象徴する重要な建築です。ぜひ動態保存を!」
鈴木 博之
ドコモモ・ジャパン前代表
「いかにも武基雄先生らしいすっきりしたシルエットの長崎市公会堂は、いつまでも残り続けてほしい。」
穂積 信夫
建築家・早稲田大学名誉教授
「今治で育った丹下の建築を大切にしている町に比べて、長崎の建築家武基雄の作品を次々とこわしている長崎を悲しく思っています。」
池田 武邦
建築家・元日本設計名誉会長
「原子爆弾の被爆都市長崎が全世界に発信した『平和宣言』の貴重なシンボルといえる 『長崎市公会堂』は、単に長崎市の一建築ではなく、全世界の人々が心に留めるべき意義を内蔵した極めて重要な建築であります。 末永く大切に保存せねばならない責任と義務があります。」
松隈 洋
DOCOMOMO Japan代表・京都工芸繊維大学教授
「戦後復興の象徴であり、被爆地長崎を生きる人々に勇気と励ましを与えてきた貴重な建物を簡単に葬り去ることは、長崎自身の歴史を失うことであると思います。父の出身地でもあり、被爆者でもあるので他人事ではありません。どうか良い方向へと事態が動くことを願っています。」
堀池 秀人
建築家・熊本大学大学院教授・堀池秀人都市建築設計研究所代表
「人々の生存の証であるまちをかたちづくってきた名建築。人々と文化を護るために建築とまちはある。」
大宇根 弘司
枯建築家
「私は長崎公会堂を是非残し、使い続けて頂くことを強く要望します。伝え聞く所では武氏の代表作との事です。丁寧に手入れをすれば新築では叶わぬ良さが必ず甦ります。私は何の変哲もない建物を二つ耐震補強をし、新しい機能をつけて再利用をする仕事をしましたが、古いものが持つ時間の堆積の良さが何とも言えぬ魅力を醸し出しています。ましてや武氏の代表作であれば言うまでもないでしょう。それに、昨今つくられている新しい建築の多くが、何ともひ弱なくせに傲慢なのは、設計者が近現代建築に謙虚に学ぶことをしていないからだ、と密かに思っています。そのこと、近現代建築に払うべき敬意を払われず、平気で取り壊し続けていることは表裏の関係にあるのではないでしょうか。その意味でも、もうこれ以上壊すことは止めるべきだと思うのです。」
三島 庄一
建築家・久留米在住
「武基雄先生が設計された長崎市公会堂が解体されると聞いて驚いています。いかなる土地利用計画があろうとも、この建物を解体することは許されません。戦後日本の復興期においては、著名な建築家たちが後世に遺すべく純粋な創作意欲をもって設計を行いましたが、この建物も正しくその一つに数えられていて、いかなる犠牲を払っても保存・活用を計る べき建物です。長崎造船所で原爆を受けた旧長崎市民の一人としても、強く要望します。」
金子 悦輝
AGLOBE『ARCHITECTURE GLOBE』代表
「長崎市公会堂は、長崎の価値ある歴史・文化・環境と共に、使命をもって今も生き続けています。保存は義務です。」
田島 正陽
建築家・田島正陽建築事務所代表
「10年程前ドコモモ100選の作業に関わり、九州にある多くの近代建築から長崎市公会堂を推薦しました。いつまでも市民に愛されてほしいです。」
林 重太
日本戦没者学生記念会(わだつみ会)理事
「武基雄祈念の長崎市公会堂を21世紀を生き抜くための文化遺産として継承出来るか否かは、まちの存亡を問う課題です。」
野沢 正光
野沢正光建築工房代表
「これからの社会は『持続可能な社会』であるべき、といわれます。歴史が積み重なる豊かな社会は直し工夫し活かしていく、重層的な景観をもつはずです。長崎市公会堂が長く継承され使われていくことを願います。」
末廣 香織
九州大学人間環境学研究院准教授・NKSアーキテクツ
「長崎公会堂は、日本の近代建築の姿を建築家が模索していた時代を象徴する構造と表現が一体化した傑作です。何らかのかたちで是非保存して下さい。」
曽我部 昌史
建築家・神奈川大学工学部教授・みかんぐみ
「建築は記憶装置。良質な建築には芳醇な物語が刻まれる。失うことは地域の記憶が流失することに他ならない。」
松岡 恭子
建築家・スピングラス・アーキテクツ代表・NPO法人福岡建築ファウンデーション理事長
「建築の『目に見える部分』の価値と、歴史や背景などの『目に見えない部分』の意味が多くの市民に共有され、その存続について活発な議論がなされることを心から期待しています。」
内原 智史
ライティングデザイナー
「長崎は世界に対して平和と文化の大切さを発信できる日本を代表する都市。 未来に継承すべき平和と文化のシンボルを残す意義は計り知れない。」
角舘 政英
照明家・ぼんぼり光環境計画代表
「地球で何を大切に大事にしていくかの議論はとても必要であろう。ただ便利になるとか利権だけで判断してはいけない時代ではないだろうか?」
柳澤 璋忠
建築家・横浜市民・年金生活者
「原爆被災地長崎を復興再生した、その主役の長崎市公会堂を市民が歴史的、文化的記念碑として残すことを世界は注目している。
上山 良子
ランドスケープアーキテクト・長岡造形大学名誉教授/前学長
「長崎は素晴らしい自然の風景と独特な土地の記憶の遺産に恵まれ、その多様性が故に人々を魅了してきました。この街の価値はこれらの『資源』を生 かしていくことによって、これからも無限に高まる可能性を持っていると確信しております。しかし、現状を見てみますとこの資源が生かされていない場所も多く見受けられます。残っている歴史的に意味のある建築が思ったほど多くないことも残念な限りです。この土地に築かれてきた、その 時代、時代の創り手による創造的な建築ならびに周辺環境は次世代へと継承されていってはじめて、街の『記憶が重層化』され、その地独特の豊か な街が構築されることは言うまでもありません。時代の求めに応じ、人のために最もふさわしい解として形にしていく、公の建築やランドスケー プ。建築家の技量は勿論のこと、そのためにかけられる膨大な関係者たちのエネルギーは計り知れません。長崎市公会堂は都市の中の建築を考慮され続けた、武基雄氏の傑作の一つ。近代建築遺産は気付かないうちに無くなってしまうことが多く、由々しきことと常々思っております。是非この 貴重な遺産を後世のために美しく保存し、かつ活用されますことを祈念致します。」
立石 聰
NPO法人波佐見講堂ファンクラブ代表
「波佐見の講堂が、町のシンボルである様に、長崎市公会堂は長崎のシンボルではないでしょうか。」
鯵坂 徹
建築家・鹿児島大学大学院教授
「人口減少の時代に建て替えることが、豊かになることか今一度考える時ではないでしょうか。便利になるだけで文化的空間的に貧しくなるだけの事例も多いのでは。市庁舎ともども時間をかけて将来像を模索してはいかがでしょうか。」
西澤 泰彦
建築史家・名古屋大学教授
「日本を代表するモダニズム建築である長崎市公会堂を何ら評価することなく撤去することに反対。日本建築学会が2007年に公表した〈建造物の評価と保存活用ガイドライン〉に基づいた評価をおこなうことを要望します。」