Q1 長崎市公会堂はそんなに大事な建物なのですか。
A はい、建築に関する国際的な研究組織であるDOCOMOMO日本支部が選んだ日本の近代建築100選(九州では6棟のみ)のひとつです。築後50年を経過し、いつでも登録有形文化財にできる価値があります。
Q2 被爆復興のシンボルでもあるそうですね。
A被爆復興のために「長崎国際文化センター」構想が生まれ、昭和30年代ごろに世界中から募金をいただき、地域一体となってさまざまな文化施設が建設されました。現在まで残っているのは長崎市公会堂と長崎図書館のみです。
Q3 でも、改修してもあと15年しか保たないと聞きました。
A 確かに鉄筋コンクリート造の建物は最低でも65年は使えるように設計しますが、それと実際の寿命は違います。長崎市公会堂はコンクリートの状態もよく、適切な手入れをすればまだまだ長く使える建物です。
Q4 古くて使いにくいという声もあります。
A それは、建設以来ほとんど改修らしい改修をしなかったからです。長崎市の試算によれば耐震補強と設備更新で13億円かかるそうですが、それに加えて必要なところを増やし、使いにくいところを改善すればよいのです。
Q5 市民の意見の結果として公会堂解体を決めたそうですが。
A 市民アンケートでは、Q3の寿命のまちがった解釈を前提として意見を求めています。また、検討委員会でも正確な情報は伝えられていません。一方今年になって募集したパブリックコメントでは、公会堂保存の意見が大半を占めています。
Q6 そもそも長崎市役所の建替えって本当に必要なのですか。
A 災害のことを考えれば市庁舎の耐震化は必要です。しかし、それと市役所の全ての機能を大きなひとつの建物にまとめることは別の問題です。人口激減が進む長崎市では、合併で得た余剰庁舎スペースでさえ十分に活用されていないのが現実です。
Q7 今の市役所敷地では建替え不可能なのでしょうか。
A 議会棟の場所と桜町公園を使えば、私たちが示したように仮庁舎なしで現在地での建替えも決して不可能ではありません。長崎市が命名した「市役所通り」を市の中心業務街として残すためにも、少なくともこの通りにあり続けるべきです。
Q8 公会堂の前の広場は都市公園ですよね。
A 長崎市は公会堂敷地に市役所を建設するため、この都市公園の廃止と地区の容積率の積み増しを計画しています。自分の都合で都市計画決定を変更するならば、今後のまちづくりは無法状態になる恐れがあります。
Q9 長崎市は大型施設計画が目白押しのようですね。
A 現在検討されているMICE(コンベンションや展示機能を持つ施設)や駅周辺整備に加え、市役所と公会堂をともに建替えるとすれば大きな費用が必要です。壊された公会堂の代わりとなる新しい文化ホールの建設は実現されないことが懸念されます。
Q10 歴史ある優れた市民ホールは街のシンボルですね。
A カーネギーホール、オペラ座、中之島公会堂といった百年以上の歴史を持つホールは、街の誇りになっています。米子、今治など長崎市公会堂と同時代の優れた市民ホールも次代に受け継ぐ改修がなされました。今こそ長崎市民の文化度が問われる時です。